筆者は復帰直前の3月下旬、DAZN JAPANのイタリア現地取材コーディネートで鈴木彩艶と接する機会があった。

 グラウンドの外での日本代表守護神はつねに朗らかで、パルマ市内中心街での撮影では、彩艶の巨躯にめざとく気づいた地元の老若男女の求めに応じて気さくにセルフィーやハグを交わした。

 子供はもちろん、年配のファンから「頑張れよ」、「頑張って頂戴ね」と応援され、柔和な笑顔で応じた彩艶。長年イタリアサッカー界を取材しているが、年少ファンはともかく地元の年長者からも慕われる日本人選手は珍しい。それだけ彼の人柄が尊重されているのだろう。

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どちらを優先起用すべきかという議論も現地でヒートアップ

 ただし、骨折からの実戦復帰は苦いものだった。

 3月14日、アウェーでのトリノ戦で先発復帰も試合開始直後のミスからの失点を皮切りに合計4ゴールを喫して1-4の大敗。さらに翌週末のクレモネーゼ戦でも2失点を献上し、連敗を喫した。鈴木は大手スポーツ紙『ガゼッタ・デッロ・スポルト』を初めとする地元メディアから「何ともおぞましい復帰ゲーム。ホラー映画のようだ」と辛辣な批判に晒された。

イタリアの全国紙の1面を飾ったことも

 ザイオン不在の間、クリーンシートを連発していた同僚の第2GKエドアルド・コルヴィとどちらを優先起用すべきかという議論も現地でヒートアップ。1歳年上のコルヴィはパルマ出身でクラブの下部組織育ちのいわば生え抜きだけに地元の心情的支持は傾いた。29年夏まで契約を残す鈴木だが、外国人助っ人である以上不要論も囁かれた。

 パルマの監督カルロス・クエスタは「我々のチームのポジション争いは健全な競争状態にある」と論争を諌めつつ、鈴木への変わらぬ信頼を強調した。指揮官の信頼に応えるべく、ザイオンは抜群の反射速度に磨きをかけ安定感を取り戻すと、終盤のウディネーゼ戦とピサ戦で2戦連続完封。2シーズン連続残留の原動力となり、弱冠23歳ながらGK王国イタリアで“注目すべき才能ある若手キーパー”という定評を固めた。リーグ戦終了後、インテルやアストン・ヴィラ(英国)といった強豪クラブが獲得へ熱視線を注ぐまでになっている。