“パルマでGKとして成功する”ことの意味

「いいゴールキーパーは、自分だけの“コンセプト”を持っているものだ」

 パルマ郊外に住むGKコーチ、エルメス・フルゴーニは穏やかに述べる。

 77歳の喜寿を越えたフルゴーニは、90年代のパルマでブッフォンを発掘、指導したことで知られる名伯楽だ。日本にも縁深く、旧知のマッシモ・フィッカデンティ監督に請われ、2014年にはFC東京でも指導した。かつてパルマに留学していた若き日の川島永嗣(元日本代表)も師事し、その後も教えを請う日本人GKが絶えない。元日本代表GK権田修一(ヴィッセル神戸)もオフを利用し定期的にコーチングを受けにパルマへ通う1人だ。

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 現在はパルマ市郊外で10代の選手を育てるGK専門スクールを主宰するフルゴーニは、愛して止まない古巣での鈴木のプレーぶりに満足している。

「若いGKは成長するために毎日の練習の中身と、それをどう組み立て実践していくかが大事。フィジカルも強靭なようだし、ザイオンにはこの先もっともっと素晴らしいキーパーになれるだけのポテンシャルがあると思うよ」

 “パルマでGKとして成功する”ことには決して小さくない意味がある。

 パルマはブッフォン以外にも、90年代に活躍し94年アメリカW杯で優勝したブラジル代表クラウディオ・タファレルや00年代前半に中田英寿の同僚だったフランス代表セバスティアン・フレイなど世界的名手を輩出してきた町だからだ。見る目の肥えた地元のファンたちを唸らせることができれば、それは世界のトップレベルに近づいた証といえるだろう。

©JMPA

 今年4月、地元紙『ガゼッタ・ディ・パルマ』は日本代表の正守護神をこう評した。

「ザイオンが来るまで、我々は日本のゴールキーパーなるものを『ホーリー・エ・ベンジ(=キャプテン翼のイタリア名)』のアニメの中でしか見たことがなかった。現実世界の我らの町にやってきた彼はいつも笑顔を絶やさず、優しく謙虚にプレーし続けている。何よりつねにサッカーに対して真摯なところが好ましい。ザイオンになら、どんな父親でも自分の娘とのデートを許可するだろう」

 GK名産の地パルマのお墨付きだ。11日に開幕した北中米W杯で、鈴木彩艶はパルマ所属の選手としては12年ぶりにワールドカップの舞台に立つ。上記したインタビューで、鈴木本人は晴れ晴れと語った。

「ワールドカップでプレーすることは自分の大きな夢の1つ。欧州チャンピオンズリーグやスクデットを獲ることもそうですが、やはり世界一のゴールキーパーになりたい。それが夢です」

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