火災の原因は「身近なもの」だった
その夜は、パー子と着の身着のままビジネスホテルに泊まってね。翌朝、水浸しの家に戻って、とりあえず着られるピンクの衣装を探したの。
翌々日の21日から10日間、浅草演芸ホールに出演が決まっていて、穴をあけて芸人仲間に迷惑はかけられないと、そんなことを思ったんだわね。この間、僕の携帯は鳴りっぱなしよ。だけど出られませんでした。
21日、浅草演芸ホールの出番を終えたあと、楽屋でマスコミの取材を受けて、それから、僕にとって実家同然の林家の本家に足が向いた。そこで正蔵さんの奥さんの有希子さんから「迷惑をかけたマンションのかたがたにお詫びに行ったの? 行ってない? ダメじゃないの!」と叱られたのよ。あわててマンションに戻って、住人の皆さんに頭を下げました。本来ならまっ先にしなくちゃならないことなのに、人から言われるまで気づかないって、本当に自分が情けないですよ。そうしている間にも取材陣が押し寄せたりして、住人のかたがたには本当に迷惑をおかけしました。
さらに、僕らが火災保険に加入していなかったことは、火事の直後、管理会社に問われてわかったけれど、それがどれほど重大なことか、愚かな僕はその時、理解していなかった。僕とパー子はいざという時のために小さな生命保険には入っているけど、火災保険はまったく意識になかったの。そうしたら有希子さんは、僕たちが住む家を探すとすぐに、布団から着る服、家財道具一式まで届けてくれました。いやぁ、ものすごくありがたかったです。
でも、日が経つにつれてわかってきたこともあるの。広さ約38平方メートルの僕らの住まいは、元はといえばパー子のお兄さんの持ち物で、僕らは家賃を払って30年近く住んでいたの。ところがお兄さんが3年前に急死して、パー子が相続した。ちゃんとモノのわかった人なら、この時が火災保険に入るタイミングだったと言うんだけど、パー子はもちろん、僕も住み慣れた部屋すぎちゃって、名義が変わったことすらピンと来なかった。
ものすごく高い家賃なら何か考えたかもしれないけど、お兄さんに払っていたのは月に8万5000円。その引き落としがなくなったのは助かったけど、何か月か経つと「ああ、そう?」って、このあたりがなんというか僕のいい加減なところでね。本当に「非常識」と言われても仕方がない。あと、火災の原因は、赤羽消防署と赤羽警察署の調べで、古いコンセントや電気コードの漏電やショートだったこともわかりました。おそらくかなり古いコンセントやコードを使っていたのよね。
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