しかし、みな無関心だった。「ぜひ優先事項として進めたいところだが……ほかにもやるべきことが山積しているのに、そちらを優先すべき理由がない」そうだ。そのくせ、中国の検閲を円滑に進めるためのツール開発に高給取りのエンジニアを集めた大規模なチームを立ち上げても、誰からも文句は出ない。

 それからも、私とチームがミャンマーに関して何か要望するたび、同じ決まり文句を聞かされることになった。

「通報がない」の裏にあった真実

 自社のプラットフォーム上で、そもそもビルマ語をきちんと扱えないという馬鹿げた状況を前にして、私のチームはコミュニティ規定と、問題のあるコンテンツを通報する手順をまとめたガイドを翻訳し、配布用に印刷することにした。いわば取扱説明書だ。1776年に時が戻ったかのようだった――トマス・ペインが『コモン・センス』という小冊子を配って大英帝国からの独立を訴えたように、紙の冊子を作って配り、利用者を啓蒙しようとしたのだ。広報チームに配布の協力を求めたが、断られた。

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「ミャンマーは東南アジアにおける優先国ではないため、現地に投入できるPRリソースがありません」

 そして2015年6月、決定打となる事実が明らかになる。市民団体や活動家がFacebook上の不適切なコンテンツを通報するのを手伝っていたとき、私のチームはあることに気づいた。現地の利用者は、通報機能がない非公式のFacebookアプリを使っている人が大半のようなのだ。市民団体は以前からそう伝えてきていたが、あまりに現実離れした話だから、私たちは信じていなかった。

 ところがよく調べてみると、ミャンマーではいまだに公式アプリがダウンロードできない状態にあり、その結果、友人同士のシェアや携帯電話販売店でのインストールを通じて、非公式版が広く出回っているとわかった。これでは、たとえ言語やUnicodeの問題を解決したところで、ヘイトスピーチや人種差別的な投稿、暴力を扇動するコンテンツを通報するのは不可能だろう。

 政権や市民団体、活動家、そのほかの関係者から、フェイクニュースやアカウントの乗っ取り、人種差別や暴力扇動、脅迫を含むコンテンツが野放しになっているという苦情が絶えなかった理由に、これで説明がついた。規定違反の投稿を見つけても通報する手段がそもそもないのだ。まれに通報できた場合でも、何らの対応も取られない。ボタンをタップしても何も起きなかったのだ。また、2014年を通じて、ミャンマーの利用者からは問題のあるコンテンツの通報が届いていないとコンテンツ運用チームが自信満々で言い続けていた理由にも説明がつく。通報が届かないのは当然だ。利用者が使っていたアプリに、そんな機能はもともと備わっていないのだから。

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