近年、住宅地や農地など、人里へのクマの出没が相次いでいる。時にその凶暴性を剥き出しにして人に襲い掛かるクマに遭遇した時、我々はどう対処すればよいのか。総力取材で明らかになった、クマの恐るべき実態とは?

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都市部での目撃情報が相次ぐ

「朝、飼っている犬が表でワンワンと吠えたんだよ。『どうした?』と見に行くと、犬が家の裏の方を見ながら行ったり来たりしている。キツネかタヌキでもいるのかと思って私も見に行くと、10メートルぐらい先にクマがいたんだ……」

 こう「恐怖体験」を語るのは、太平山県立自然公園を間近に臨む秋田市河辺諸井の佐藤守さん(88、仮名)だ。佐藤さんがツキノワグマと遭遇したのは6月8日朝のことだった――。

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「クマがいます。ガラス1枚で睨み合いしています」

 クマは体長が1メートルほどある成獣だった。

「シャベルを持って出たので、クマに向けて放ったら頭に当たった。クマは2、3歩、後ろに戻ったんだけど、また振り返ってこちらに歩いてきたんだ。慌てて家に戻り、警察に電話しましたよ」(同前)

 実は6日前の2日朝には、この現場から約1.8キロ先の住宅街の裏山で、73歳の女性が別の個体に襲われ死亡。遺体は胸や腕、頭が激しく損傷していた。

「現場の近くでは家庭のゴミも漁られており、このクマの胃からはビニール袋も見つかっている」(警察関係者)

 佐藤さんの家は住宅地から果樹園へ向かう、車1台がやっと通れるような山道を数百メートル上がった林の中にあり、出入口はガラス戸1枚だ。クマは住居裏の鶏舎を狙ったとみられる。

「クマがいます。ガラス1枚で睨み合いしています」

 こう通報した佐藤さんに応対した警察官は「絶対に外に出ないでください」と指示。しばらくして1人の警察官が携帯電話で話しながら山道を歩いてきた。

「そのとき、クマは裏手にいたんだけど、『土足でいいから、早く入って』と警察官を家に入れた。窓から2人で裏の鶏舎のほうを見るとクマがウロウロ歩いていて、警察官は、『うわー、本当だ』と。そのうちクマが表の入り口のほうに戻ってきたんだよ」(同前)

 佐藤さんらがこもった家のガラス戸は施錠ができない状態だった。警察官は、片脚を立ち膝にした体勢で必死に戸を閉めたという。