お祭りで大川さんが少し寂しそうだったわけ
その後、空き店舗を見つけ、パラー料理という日本では他に類を見ないお店「レストラン秋桜(コスモス)」を開き、日本中のブラジル人が訪れる場所になったのです。
ゴールデンウィークに行われた「パラー料理フェスティバル」には多くのブラジル人がいました。みなさん現地にいるような雰囲気を楽しみながら、大川さんに声をかけていました。でも私はそれを見ながら、大川さんが少し寂しそうに見えたんです。
そこで後日お店に行ったとき、「ひょっとしてお祭りに日本人が少なくて寂しかったのですか?」と聞いたら、大川さんは「そうなんだよ!」と言いながら嬉しそうな顔になりました。
「俺はブラジルでの生活が長いけど、10歳ちょっとまで日本にいたし、日本人なんだよね。だから(お祭りには)日本人にも来てほしいんだよ!」
僕も中国雲南省で人生の半分を過ごしたことがあるためか、大川さんに似た境遇を喜んでいただき、その後も晩酌をしながらたくさん語り合いました。
大川さんに、自身の数奇な人生を振り返ってみて、楽しいといえるのか聞いてみると、印象的な言葉が返ってきました。
「親父のおかげで多様な視点を持てるようになったのはよかったし、面白い。でも、楽しくはないなあ。自分の意思で海外に暮らすのか、未成年が自分の意思ではどうにもできない状況で海外にいるのか。ブラジルに向かう船内で、成人した青年は自分の意思で決めていったけど、私は何もわからないまま連れられた。そこはすごく違うと思うんですよ」
今後、海外にいる日本人と交流するとき、頭に入れておかねばいけないことかもしれない、と思わされました。
お店に行きたい人は、お早めに
大川さんは現在、高齢のために、キャッサバを自家栽培している農場まで車で行って農作業をする、ということができないそう。「1年分はキャッサバとかのストックはあるけどお店で出せるのはそれくらいかなあ」とのこと。
ご家族はいるのでお店は継続する可能性もあるけれど、そこはご家族の事情もあるので、今後どうなるかは不透明。もしお店に行きたい人は、お早めに。この記事が出てレストランが盛り上がり、お客さんがやってきて、そのお客さんが来てよかったなと思ってくれるといいなと願いを込めて。
写真撮影=山谷剛史
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