――旦那さんの反応はいかがでしたか?

くどう 夫は子ども云々よりも、まずは病気の治療を最優先に考えてくれました。その思いに支えられ、私の関心は次第に「子どもがいない人生って、どんな感じなんだろう?」という方向へシフトしていって。

 けど、周囲にロールモデルとなる女性が見あたらなかったし、図書館で調べても関連する文献はほとんどない。「子どもがいない人生って、こんなにフィーチャーされないんだ」と、驚きと絶望を覚えました。

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©︎橋本篤/文藝春秋

 当時、トレンド調査の仕事をしていたこともあり、私は「今後は子どものいないライフコースを歩む人が増えるはずだ」と予想を立てました。そこで、自分も含めた当事者が集まり、お茶でも飲みながら和気あいあいと気持ちを語り合える場を設けてみたんです。でも、いざ蓋を開けてみると、予想外の展開になって……。

胸の内を話す場がなかったと泣き出す女性たちが続出

――何が起きたのでしょうか?

くどう 15人ほどの女性が集まり、一人ずつ「子どもがいない経緯」を話し始めたんですが、「これまで誰にも胸の内を話せなくて、本当に辛かった」「10年間ずっと暗闇の中を彷徨っているようで、どうしていいか分からない」と、泣き出す人が続出したんです。

 私は「子どもはいなくても自由な時間はあるし、みんなで楽しく生きていこう」という感じの明るい会を想像していたのですが、まったく違う雰囲気になって。深い悲しみや苦しみを抱えている人がいる現実を、そのとき初めて目の当たりにして、大きな衝撃を受けました。

 これは、当事者の方たちの声を理解しなければいけない。けれど、子どもがいない人同士が繋がって思いをシェアする場がない。そう気づいて、この「マダネ プロジェクト」を始めました。

――「マダネ プロジェクト」を通じて、これまでに1000人以上の「子どものいない女性」と対話されてきたそうですね。どんな悩みをよく聞きますか?

くどう 多くの方が共通して口にされるのは「肩身が狭い」「パートナーに申し訳ない」「親に孫の顔を見せられなくて罪悪感がある」という引け目の感情です。

©︎橋本篤/文藝春秋

 特に昨今は、少子化の風潮もあり、一部からは「子どもを産めず、社会に貢献できていないような気持ちになる」という声も聞かれます。