「後先の考えなく、その場の議論に勝とうとムキになる」

 ここで思い出した。天皇陛下は先日の記者会見で、制度そのものへの言及は避けながらも、

「国民の皆さんの理解が得られるものとなることを望んでおります」

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 と語られた。「理解」という言葉が印象に残った。

高市氏は「反省なんかしておりません」

 高市氏は皇室そのものを守ろうとしているのか。それとも男系男子継承という「保守の証し」を守ろうとしているのか。

 そんなことを考えていたら、「昭和100年記念式典」を思い出した。

 4月29日、政府主催で開かれた昭和100年記念式典には天皇皇后両陛下も臨席された。だが、そこで不思議なことが起きた。天皇陛下のおことばがなかったのである。

 1968年の「明治100年記念式典」では、昭和天皇がおことばを述べている。ところが今回はなかった。政府は「総合的に勘案した」と説明した。

 高市首相が式辞で「戦争」という言葉を使ったのは、「戦争、終戦、復興、高度経済成長」と昭和をまとめた一度だけだったことに朝日新聞は注目していた。日本国憲法への言及もなかった。一方で、衆参両院の議長は戦争の犠牲や荒廃について触れていた。何を語り、何を語らないか。そこにはその人の歴史観が表れる。

 記事でも取り上げられていたが、高市氏は1995年、戦後50年の国会決議をめぐり、

「私自身は当事者とは言えない世代ですから、反省なんかしておりませんし、反省を求められるいわれもない」

 と発言したことがある。今回の式辞を見ていると、その延長線上にあるようにも感じる。
 
 保守とは何かについても様々な考え方がある。今日より明日を少しでもアップデートしていこうとする。「永遠の微調整」とは、そんな意味だろう。だからこそ「高市氏は何を守ろうとしているのか」という最初の問いに戻ってしまう。

 そんな「昭和100年記念式典」だったが、異変はこちらにもあった。会場では昭和を彩る歌謡曲が演奏された。高市首相はTM NETWORKの『Get Wild』が流れると、手拍子をしながら歌詞を口ずさみ、満面の笑みを見せていたという。

 自民党関係者は、

「演奏された昭和の名曲は計6曲。松田聖子の『赤いスイートピー』、かぐや姫/イルカの『なごり雪』など、昭和36年生まれの首相に刺さりそうな歌が選ばれていた印象。さながら“サナエ劇場”でした」

 と語っている(週刊文春 電子版5月20日)。