皇室典範の改正が進んでいる。政府は6月22日、改正案の要綱案を衆参両院の正副議長に示し、大筋で了承された。今国会中での改正の成立を目指すという。
これまで皇族数の減少をめぐる議論では、何が語られてきたのか。「文藝春秋」7月号に掲載された「深層レポート 天皇が漏らされた“ご懸念”」から一部を紹介する。
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上皇の「生前退位」に際しての懸念
05年の「女性・女系容認」の議論は、秋篠宮妃の紀子さまのご懐妊によって沙汰やみとなった。だが、悠仁さまがお生まれになったからといって、次世代を担う皇族の数が少ないことに変わりはなかった。その後、民主党政権だった11年には、首相だった野田佳彦に対し、宮内庁長官の羽毛田信吾が女性宮家創設の検討を求めた。これも上皇の了解の下での動きなのは明白だったが、保守派の猛反対に遭った。「いずれ女系天皇へ道を開くことになる」というのが理由だ。野田は難問をまとめられぬまま、12年末に退陣した。
それ以降、皇位継承の問題が正式に政府の議論のテーブルに上るまでには、16年の「退位のご意向」を待たねばならなかった。
前出の宮内庁関係者によれば、上皇は生前退位にあたり「保守派、とくに日本会議の動向を気にしておられた」という。実際、特例法制定にあたって行われた有識者ヒアリングで、保守派の言論人たちは、口々に退位に反対を唱えた。「天皇は、存在そのものがありがたい。高齢で公務ができずともよい」という理由だ。
ただ、読売新聞の世論調査では、生前退位を容認する人が全体の81%に上った。多くの国民が、上皇のお気持ちに賛意を示したのだ。国民の理解や支持を得て、皇室制度を“生身の人間”のための安定的な仕組みに変える、平成皇室の集大成ともいえる成功例となった。同時に、女性宮家創設に立ち塞がった保守派に対し、土をつける形にもなった。
ここから、保守派の巻き返しが始まる。

