最初から養子案採用を模索
生前退位の特例法の附帯決議に、安定的な皇位継承についての検討が明記されたことから、菅義偉政権は21年3月、皇族数確保の方策を検討するための有識者会議を設置した。そして同年12月、保守派の悲願が成就する。有識者会議の報告書に、女性皇族が結婚後も皇族の身分を保持する案と並び、旧皇族の養子案についても、具体的な制度の検討を進めるべきと結論づけられたのだ。後に与野党協議で議論される2案である。
有識者会議のヒアリングにも応じた、日本大学の百地章名誉教授が胸を張る。
「私は、女性・女系天皇の誕生を阻止し、男系継承の伝統を守るべく、(自身が政策委員長を務める)日本会議の仲間たちと長年議論を重ね、典範改正法案の素案まで作っていました。有識者会議の結論に旧皇族の養子案が盛り込まれたのは、私たちの案を参考にしていただけたのではと思っています」
05年に一蹴されたはずの旧皇族の養子案。だが21年の有識者会議では、政府は最初から採用を模索していたようだ。ある男系維持派の人物は、有識者会議が設立される1年ほど前の出来事についてこう明かす。
「皇室典範改正準備室の官僚から、水面下でヒアリングを受けた。旧皇族の養子案についても聞かれ、これは本気かもしれないと思いました」
だが、旧皇族の養子案に、上皇が否定的だったのは前述のとおりだ。
そして――。天皇も同じお気持ちを抱いておられることが、今回の取材で分かった。前出の宮内庁関係者が打ち明ける。
「21年の報告書の方向性について、陛下は何度か、西村泰彦宮内庁長官(当時)から説明を受けておられます。当然、説明の内容は、女性皇族の身分保持案と旧皇族の養子案の二つに及んだ。これに対し陛下は、旧皇族の養子案についてのみ、ある“ご懸念”を漏らされたといいます」
天皇のご懸念はこうだった。
「国民の理解が得られるのか」
※本記事の全文(8500字)は、月刊文藝春秋のウェブメディア「文藝春秋PLUS」と「文藝春秋」2026年7月号に掲載されています(本誌編集部「深層レポート 天皇が漏らされた“ご懸念”」)。全文では、以下の内容も読むことができます。
・彬子さまと佳子さまの「意向の違い」
・旧皇族の男系男子との結婚話


