脇でどう光り輝くか「ワンデイ・ワンシーンにすべてを賭ける」
――同年代の俳優が売れていくことへの葛藤もあったのではないかと。
五頭 葛藤まではいかないけど、チョコチョコ感じていることはありましたね。特に「この人はすごい!」と唸ったのは、西田敏行さん。若い頃の西田さんが出ていた青年座の舞台は何度か見ていますし、映画でも2回ほど御一緒したことがあります。
松尾スズキさんが監督で松田龍平くんが主演した『ジヌよさらば かむろば村へ』で御一緒して。間近で目にして、すごい方だなと。
ただ、自分がどこを目指しているかというのは、わりとハッキリしていました。主役ではなく、脇でどう光り輝くか。映像に進んだら主役なんかできるわけがないとわかっていたからこそ「ワンデイ・ワンシーンにすべてを賭ける」という自分で作った文言を掲げるようにして、1日でその現場の1シーンにインパクトを残すにはどうすれば良いかを、ずっと考えてやってきたんです。
メイクさんや衣装さんからの「あのとき一緒でしたよね」
――エキストラは心無い言葉を言われたり、冷たい対応をされたりするイメージがありますけども。
五頭 監督さんやスタッフの方のほうがキャリアがあるわけだから、彼らが言うことにはある意味正しさがあるんですよ。その場では納得できなくても、後でよく噛み締めると「ああ、ああすれば良かったんだな」と思えてくる。ただ、1日で終わる仕事だから、次に会ったときにそれを踏まえて演じ直すことができないのがもどかしかったですね。
ただ、面白いことに、現場が変わっても「あの作品で一緒でしたよ」と声をかけてくれるスタッフさんが随分います。メイクさん、衣装さん、照明さんといった方々から「あのとき一緒でしたよね」と言われると、それだけ印象を残せていたことになるのかなと。そこは嬉しかったです。
苦しいと思ったことが、不思議とない
――これまで一度も役者を辞めたいと思ったことはない?
五頭 ちょっと繰り返しになっちゃいますけど、42歳で医者から役者を辞めるように言われても「もう潰しがきかない」とわかっていましたから。それに、なんとなく「いつかうまくいくだろう」という楽観的な気持ちもありました。
これに関して、ある年代になれば老け顔の私が化けるという先輩の言葉が、心の底のどこかにあったのかもしれないですね。
役者をやっていて、生活がキツかったわけでもなかった。それも大きいですね。旅公演に出れば、出演料はもらえるし、いわゆる「あご・あし・まくら」もついてくる。家賃や光熱費もなんとかなっていた。だから、苦しいと思ったことが、不思議とないんですよ。
コンビニで夜11時から朝7時まで働いていた時期もあったけど、そこで賞味期限切れの食べ物をもらえたので、朝の稽古に持っていって食べたりできたんですよ。いまはダメらしいけど。そんな生活が楽しかった(笑)。
