アニメ『日常』の東雲なの役などで知られる声優の古谷静佳さん(37)は2015年、27歳の誕生日を目前に、深夜の交差点で4トントラックに巻き込まれる交通事故に遭った。一命は取り留めたものの、頭蓋骨骨折、くも膜下出血を負い、事故後には一時的に数字を理解できなくなるなどの異変もあった。
退院後、古谷さんは声優からの引退を発表する。なぜ一度声優という仕事を手放すことを選んだのか。当時の心境を振り返った。(全3回の2回目/最初から読む)
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左半身の麻痺で普通に歩けない状態「『これは治るのかな』って」
――入院中はどういうリハビリをされましたか。
古谷静佳さん(以下、古谷) 左半身の麻痺もあって、普通に歩けない状態だったので、手すりにつかまりながら歩くところから始めました。ただ最初はそれもうまくできず「これは治るのかな」ってすごくショックでした。
左が麻痺していたので、リハビリで左を動かせるようにするためになるべく左を使って行動を取るようにしていて、左手でご飯を食べるように言われていましたし、日記も左手で書くようにしていました。
――交通事故では頭を強く打ち、くも膜下出血にもなりました。頭には異変はありませんでしたか。
古谷 最初は言葉をうまく発声できませんでした。あと数字がわからなくなってしまって。時計を見ても何時なのか数字が理解できないんです。1桁の足し算はできるんですけど、2桁、3桁になるとわからないし、掛け算や割り算がもうできない。なので、数字の勉強もして、だんだんと治っていきました。
ほかにもひらがなの練習から始めたり、小学校の低学年の勉強からやり直す感じでしたね。ただ漢字はもともと苦手で、漢字のテストをした際に点が良くなくて、お医者さんが「これはちょっと重症かもしれない」と心配されたので「もともと、結構バカですよ」と正直に伝えました(笑)。
「あなたとあそこに行ったね」と言われても思い出せない記憶
――事故後は記憶がなくなっている部分がかなりあったそうですね。
古谷 はい。学力の部分は徐々に元に戻ったんですけれど、記憶の方は戻りませんでした。そもそも自分の中でも何を忘れたかをよく分かってないんです。家族に「あなたとあそこに行ったね」と言われても覚えていない。割と大人になってからの出来事はもう覚えてなくて、思い出せないままのものがいっぱいあります。

