ランニング中にアクティブリコール
アクティブリコールは、一度やっておしまいではなく、間隔をあけて何度か行うことが肝心だ。まっさらな紙に書き出すのが一番効果的だが、状況に応じて、必ずしも書かなくてもよい。
私がよくやっているのは、その日に学んだ記憶しておくべき重要な点を夜寝る前に紙に書きながらアクティブリコールする。そして翌朝のランニング時に、走りながら思い出すのだ。何もないところで走りながら想起するのはもちろん脳にとってハードなことだが、いわば“コグニティブロードを走る”行動と習慣が自分を強くしてくれると思うとなんだか気持ちがいい。
車の運転中なども、想起するには絶好の機会だ。走っていたり運転していたりするときは、スマホや書類を取り出しようがないから、“強制ノーヒント”な環境で思い出す訓練になる。
3歩進んで2歩下がる!
アクティブリコールについて詳しく解説された『科学的根拠に基づく最高の勉強法』という名著があるが、フロリダで内科医をやっている著者の安川康介先生に、私は反復学習があまり得意でないという悩みを打ち明けたことがある。アメリカでは「Anki」という、学んだことを自動的に一定の間隔で復習させるアプリが流行っているが、この手のアプリは私にとっては復習地獄! 一つ学習したら何度も復習しないといけないので、圧倒されてしまって結構ストレスだった。
すると安川先生はこう言った。
「そんなもんですよ。3歩進んで2歩下がる感じですね!」
それまでの私の勉強のイメージは、新しいことに9割、定着させるために1割時間をかけるというものだったが、新しいことを3時間学んだら少なくとも(断続的に)2時間は復習に充てるべきだったのだ。アクティブリコールを知っているつもりが、「反復学習」にかかる時間を甘く見ていた(図参照)。
個々のキャパシティもあるだろうが、イプットと復習の配分はそのくらいが適切だったわけだ。私はいつも「速く学ばないと」「大量にインプットしないと」と焦って学ぼうとするが、ザルのように記憶からこぼれ落ちがちだった。
本来復習にかける時間をとっていなかったのだから、記憶力が悪かったのも当然だ。実際に記憶の習慣を身につけてみると、本当に指摘の通りだった。少しのインプットとたくさん思い出すこと―結局そのほうがずっと記憶の定着が早いのだ。
大事なことは、その日の夜→翌朝→数日後の3~4回程度のアクティブリコールで記憶することが習慣になった。

