──『氷血』は、映像ギミックを多用した映画でもありますよね。
北山 そう、だから撮影の香盤表を見ただけではどんな画になるのかまるで想像がつかなくて、でもきちんと観る者の恐怖心を煽るシーンになっているんです。「なるほど、この画とあの画がつながるんだ!」と感心すると同時に、「監督、遊んでるな」とクスッとしたりもして。一流のプロたちが「人を怖がらせること」に真剣に取り組んでいる現場に自分も役者として参加して、楽しさを共有できたことがうれしかったですね。
「その気持ちは理解できなくもない」という小さな共感ポイントを求めて
──映像ギミックも怖かったですが、北山さんの演技にもゾクリとさせられました。北山さんが演じた稔は、一見、良き父・良き夫ですが、じつは二面性のある人物で、雪国への帰郷をきっかけに少しずつ負の側面が顔を出していきます。演じるのは難しかったのではないですか?
北山 稔の変化を芝居で表現するためには、彼が変わっていく前──ニュートラルな状態の稔をいかに作り込むかが肝になると感じました。そこをしっかり固めたうえで、負の側面をじわじわと滲ませていく。この段階で滲ませていいのか、いいなら何パーセントくらい滲ませるのかとか、入念に準備しましたね。
監督と事前に詳しく打ち合わせたわけではないですが、カメラテストで芝居を見てもらったら何も言われなかったので、「間違ってないのかな」と。あとは撮影が始まってから現場で「いまの台詞、もっとボソッと言ったほうがいいですか?」などと確認しながら微調整していきました。

