──北山さんは普段、自分が演じる人物に共感できるポイントを見つけ、そこを糸口に役づくりするそうですね。稔に共感することはできました?

北山 自分とはまったく違う人間ですが、「こんなことするヤツいないだろう」と否定してしまうと、身体が動かなくなるので。「その気持ちは理解できなくもない」と感じられる小さな共感ポイントを探し出し、稔という人物に血を通わせていった感じです。

撮影:釜谷洋史

──稔の変化にも、稔の変化によって微妙に変わっていく家族の関係性にも、妙にリアリティがありました。

ADVERTISEMENT

北山 リアリティという意味では、今回の作品については“雪国”という撮影環境が背中を押してくれたところも大きかったと思います。僕たちが親子3人で芝居をしているだけでは、あそこまで説得力のある画にはならなかったかもしれません。

──ロケは厳冬期の福島県で、雪の中でおこなわれたんですよね。

北山 本当に雪がすごくて。自分たちが撮影している間も雪が降り続いて、移動車の動線を確保するために、車両チームがずっと雪かきしてくれていたくらいです。実際に雪に閉ざされた環境に身を置くと、閉塞感がすごいし、ものすごく寒くて、動きも鈍くなる。それを体感したことで、全員が作品の世界にするりと入り込んでいけた気がします。個人的には、雪と寒さがほんとうに恐ろしかった。いちばん怖いのは自然なんだなと思いました(笑)。

凍えるような寒さが、映像を通して伝わる

©2026映画「氷血」製作委員会

──稔の妻を演じた加藤千尋さん、稔の父を演じた佐野史郎さんとの共演はいかがでしたか?

北山 佐野さんは僕がこの世界に入る前から第一線で活躍されている大先輩です。そんな方と共演できるだけで光栄なのに、現場でご一緒すると、お芝居の振り切り方がすごくて。僕の役柄にとっても重しのような存在になってくれて、役者としてすばらしい経験をさせてもらえたと思っています。

 一方、千尋ちゃんは、俳優としての活動を始めてまだ数年で、僕と同じでホラー作品に出るのも初めて。ただ、彼女はホラー映画がとても好きらしいので、そこの温度差はありましたけど(笑)。お互いグループでの活動やお芝居など境遇が似ていることもあって、役づくりからプライベートなことまでいろいろな話をしました。