会わないつもりだった母親に会いに行った理由とは

――かいとさんは、なぜこのタイミングで「母親に会いに行こう」と思ったのでしょうか。

かいと 本当は、ずっと「このまま(自分に)会えずに後悔して死んでいけばいい」と思っていました。

 結果的に会うことを選んだ理由は、いくつかあります。1つは、もしもこの先、子どもができたときに「お父さんのお母さんはどんな人だったの?」と聞かれることがあるかもしれません。そのときに、私の口からは恨み言しか出てこない可能性があります。それは子どもにとって良くないと思ったんです。なるべく冷静な目を持った第三者である妻に私の母に会ってもらえば、妻の口から、子どもにとっての祖母について話してもらえるかも……という期待がありました。

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 もう1つは、母がこれまで私にしてきたことを全部否定してやろうという気持ちです。私が子どもの頃、母はよく殴ったあとに「お前も親になれば気持ちがわかるよ」と言っていましたが、私は我が子を殴る人間の気持ちが、成人した今もまったくわかりません。それを伝えて、後悔して死んでいってほしいなと思っていました。

母は場を和ませようとしたけれど…

――面会で母親と対峙したときの様子を教えてください。

かいと 母は病院の個室に入院していました。一応礼儀として、花を買っていきましたので、「はい」とそれを渡します。母は「ありがとう」と言ってそれを受け取りました。長く伸ばしていた私の黒髪を見て、母は「あれ、うちは女の子2人(かいとさんと妹)いたかね」などと言って笑わせようとしていました。

――その場に居合わせたみうさんはどんな気持ちなんですか。

みう 場を和ませようとしてくれているのだろうとは感じましたが、それまでの生い立ちを知っているので、笑うことができませんでした。

かいと 場にふさわしくもないし、面白くもないんですよね。

――そして、みうさんを紹介する。

結婚後、かいとさんの母と病室で初めて会ったというみうさん 写真はインスタグラムより

かいと はい、「妻です」と。母は「かいとは怖いでしょう」などと精一杯に母親らしいことを言おうとしていました。

――みうさんの、お母さんに対する第一印象はどのようなものですか。

みう 末期がんで病床に伏していることもあり、穏やかな様子の女性でした。何も知らなかったら、我が子を虐待してきた女性とは思わないと思います。