さらに、川重修繕部の社員らも自ら私的流用するようになり、不正行為に無感覚になっていたようだ。川重への課税処分を終えた後のことだが、国税関係者は事件を振り返りつつ、こうもらした。
「タガが外れると、人間の欲望には限りが無い」
急遽、防衛省が発表
多方面の取材によって、川重への税務調査の核心に迫りつつあった6月26日、川重が2024年3月期の有価証券報告書を自社HPに掲載した。長大な文面の一部にこんな短い記述があった。
「税務調査において指摘事項があり、2023年度の税金費用として約6億円を計上しています」
この記述が、海自潜水艦の乗組員らに対する飲食接待や物品供与に関する税務調査のことを示すとわかった。税務調査の進行中に相手先に接触することは国税側にとめられているが、情報が拡散する恐れも出てきたので、川重に正面取材することにした。事実関係に関する釈明を求めたところ、川重の担当者からの返答はなく、その後、回答催促の電話にも出なくなった。
有報の記載から1週間後の7月3日、川重本社に大阪国税局担当者が訪れるとの情報があったため、朝からその意味合いを探る事実確認に追われていた。同日夕、事態が急展開することに備えて、担当デスクと予定原稿のチェックをしていたところ、この件の調査を既に開始していた防衛省が東京・市ケ谷で「艦船修理契約に関する調査」についてのブリーフィングを午後5時から開くと各報道機関に通告してきた。
※約9800字の全文では、税務調査で発覚した“驚きの過剰接待”を詳しく伝えています。全文は、月刊文藝春秋のウェブメディア「文藝春秋PLUS」と「文藝春秋」2026年7月号に掲載されています(市田隆「川崎重工に寄生した海上自衛隊」)。
■市田隆(いちだ・たかし) 1964年生まれ。1988年読売新聞社入社。2003年朝日新聞社入社。司法記者クラブキャップや、調査報道担当編集委員を歴任。共著に『原発利権を追う』など
