2024年に報じられた川崎重工と海上自衛隊の癒着では、十数億円規模の裏金工作が発覚し、海上幕僚長を含む93人の自衛隊員が処分される事態に発展した。このスクープをいち早く掴んだのは、朝日新聞の国税担当記者・市田隆氏だ。世間を揺るがした騒動の内幕を明かした新連載「国税が暴いた関西“闇”マネー」第1回から、一部紹介します。

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『歪んだ複写』と似た構図

 ある関係者は、作家・松本清張が発表した長編のミステリー小説『歪んだ複写』を例に出して「あの構図と似た印象がある」と感想をもらした。昭和30年代を舞台にしたこの小説には、企業から料亭などで飲ませ食わせの接待三昧の日々を送る税務署員たちが登場する。この関係者が指摘した類似点とは、「小説では税務署から企業に、今回の場合は、海自から川重にという『たかり』の構図だ」。

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謝罪会見する川崎重工社長の橋本康彦氏(手前 ©時事通信社

 川重修繕部が下請けとの架空取引で得た裏金で購入し、乗組員らに渡した物品は、当初は潜水艦内で使う装備品を、海自での面倒な購入手続きを省いて、用立ててあげるサービスの側面が強かったという。それが、装備品に限らず何にでも使える裏金ゆえに、私的な嗜好品のゲーム機、ゴルフ用品や、iPad、自宅で使う家電製品など、乗組員たちが「欲しいものはなんでも」要求する状態に変貌していった。まさしく、「たかりの構図」だ。