「大丈夫、敦子はがんばってるよ。大丈夫だよ」

 しかし3人の子育てが落ち着いた頃、仙道は自分でも原因不明のひどいうつ症状に襲われた。どうすることもできない情緒不安定な状態に陥り、言動も乱れていたという。そのことに最初に気づいたのは夫・緒形直人ら家族で、相談の末にひとりになる時間が必要なのではないかという結論に至り、ニューヨークへの一人旅行が決まった。予約が完了し、「あとは行くだけ」になったそのとき、仙道からうつがふっと抜けたという。

 家族の前で「私、治った!」と叫び、涙があふれて大泣きすると、一気に精神状態が改善したという。

 うつ病との戦いには、義父の緒形拳も支えになったという。仙道は子役時代、夫・直人より先に拳と共演したことがあり、緒形家との縁は長い。拳は2008年に肝臓がんで他界したが、後に「本当に優しい父でした」と語ったこともある。

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 子育てで疲れていた仙道に拳が「大丈夫、敦子はがんばってるよ。大丈夫だよ」と言葉をかけるなど家族ぐるみのサポートを受け、仙道は拳のことを「たくさん声をかけるタイプではなく、存在そのもので包み込むような、大きな優しさだった」と表現した。

 家族のサポートで体調も戻り、3人の子育てにもメドがつきつつあった2018年、仙道は48歳にして25年ぶりに女優に復帰した。TBSドラマ『この世界の片隅に』(18年)の監督に「お母さん役を探しているんですが、どうですか?」と声をかけられたのがきっかけで、その人物は若い頃に仙道が出演したドラマの助監督だった。

ドラマ「この世界の片隅に」では主演の松本穂香の母親役を好演

 復帰についてさっそく緒形をはじめ家族に相談すると、「いいじゃん、やりなよ」と全員拍手で後押し。25年間仕事がないながらも籍を置き続けていた事務所に「ご挨拶がてら、少しずつ何かできたら……」と話したところこちらも大賛成で、トントン拍子に出演と本格復帰が決まった。

 本人は「今まで出会った人たちに助けられてきたご縁かな」と語るが、現役時代の現場での好感度や、家庭での人間関係を築いていればこそのスムーズな復帰だった。

朝ドラ「なつぞら」にも出演 NHKサイトより

 3人の子どもを育てあげた仙道の存在感は芸能界のなかで際立った説得力があり、復帰からすぐに仕事が殺到。2度目の全盛期を迎えた仙道はどんな“生涯”を見せてくれるのだろうか。

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