夢の終わりと…
そして迎えた、後半アディショナルタイム。時計の針が90分を回った土壇場で、日本はブラジルに痛恨の逆転ゴールを許してしまう。直後に無情にも響き渡った試合終了のホイッスル。結果は2-1、無念の逆転負けだった。
「静まり返っちゃってるねー。これじゃあ警察いらないよ」
スクランブル交差点を目にした誰かがポツリと呟いた。沸き立ったスウェーデン戦後とは打って変わって、街は恐ろしいほどに静かだ。揚々と歓喜の声を上げているのは、少数のブラジルサポーターだけである。
熱狂の渦から少し道を外れて、代表サポーターたちの生の声を聞く。写真の男性たちは、開口一番「シンプルに悔しいです」と沈痛な面持ちで吐露した 。ブラジルの強さを「柔軟に対応できるんですよ。どんなに日本が手を打ったとしても、ブラジルは自由なサッカーでそれを上回ってくる」 。戦術の枠に収まらない、王国特有の柔軟性が日本の前に立ちはだかったと試合を振り返る。
また別のサポーターも、2対1と逆転されても「なんとか諦めたくなかった」と最後まで祈ったというが、残酷な結果を受けて「マジ悔しい」と深いため息をついた 。 敗戦のショックのなか、今日この後の予定を聞くと、「仕事す」というあまりに現実的な答えが返ってきた 。明け方まで続いた熱狂の夜から一転、鉛のように重い足取りで職場へ向かうのだという。
男性は「もうブラジル応援するだけっす」と、潔く今大会の残りは自分たちを破ったブラジルに託す姿勢を見せた 。そして4年後の次大会については「まずベスト8っす。で、優勝でしょ」と力強く宣言してくれた 。
大熱狂のち、深い静寂……。彼らは少しの悔しさと疲労を抱えながら、それぞれの現実へと静かに帰っていった。




