カンブリア紀を代表する海洋生物といえばアノマロカリス。当時の生態系ではずば抜けた巨体を誇った“王者”だ。しかし、実寸はわずか数十センチ程度だという。周囲の生物との比較で「巨体」扱いされるだけで、これはサバやスズキといった現代の魚類とほぼ同じサイズだ。ならば魚屋の店頭にアノマロカリスを並べてしまえば、実態がわかりやすくなる……そんなユニークな発想を、実景の写真と3DCGを組み合わせることで実現した図鑑が話題だ。著者は「Newton」などで活躍してきた、定評あるサイエンスライター。
「もともと著者と私は、ビジュアル要素と文章の読み応えを両立させたサイエンス読みものを作ろうと長年努力して来ました。本書もその流れにあって、だから解説文は雰囲気はくだけていても、緩い内容ではありません。CGと写真の組み合わせも、あくまで理解を助ける工夫だったんです」(担当編集者の大倉誠二さん)
ところが、画像のインパクトは作り手の予想を超えた。刊行前に通販サイトに掲載した見本の画像が、古生物好きのネットユーザーの目に止まって爆発的に拡散、予約が殺到したのだ。
「こんなに古生物に興味を持ってくださる方がいたとは……というのが正直な気持ちです(笑)」(大倉さん)
シリーズは中生代、新生代と続く3部作を予定。大人から子供まで楽しめる教養本として、安定のシリーズになりそうだ。
2018年7月発売。初版4500部。現在4刷6万部