AIとは関係のないビジネスを立ち上げた理由
――チェンさんは東大卒業後、自動車整備会社への補助金コンサルという別のビジネスをやって、AIから離れました。これはどうしてでしょうか。
チェン 日本の研究室では、素晴らしい技術が開発されているにもかかわらず、それが社会と繋がっていない傾向があります。その点こそ、私が感じる日本における研究の“もったいなさ”なんです。というのは、たとえば東大の研究室の論文であれば、学会で称賛を浴びたものがたくさんあるにもかかわらず、ほとんど日の目をみず、世の中で活用されることはありません。かつて私が開発した合成技術も、誰にも使われることなく古いパソコンのなかに眠っているだけなんです。
東大には優秀な研究者がたくさんいますが、その研究のほとんどは大量の税金が投入されながら、社会実装されていないわけです。きちんと社会に還元することができればいいのに、と歯痒い思いがありました。それで、いったんは生活の糧であるビジネスと研究を切り離したんです。
高度にAIを使いこなせていない世の中はもったいない
――しかし、自動車整備工場の補助金コンサル会社を売却後、AIに関する会社を立ち上げられました。その理由はなんなのでしょうか。
チェン ChatGPTの出現によって、AIの進化速度に衝撃を受けたことがきっかけです。実際、私も自動車整備工場の補助金コンサルをしているとき、Claudeを使用して、書類作成や請求書などの事務を任せることで生産性を上げました。
しかし世の中では、いまだに「チャッピー」という話し相手としてしか生成AIがみられていない風潮があります。これはもったいないと思います。もっと世の中全体が高度にAIを使いこなすことで業務を改善できるのではないかと私は考えています。そうやって誰でもできる業務を最小限にすることで、自分が本当にやりたいことに時間を使える世の中にしていきたい、と本気で思っています。
――現在、経営されている会社ではどのような事業を行っているのでしょうか。
チェン AI導入センターという会社で、企業向けにAIの研修をおこなったり、AIコンサルをしたり、AIエージェントの導入をおこなっています。最近では、個人向けのAIコーチングも始めました。

