――出産も関わってくるとなると、難しい選択ですね。
井口 術式を決めた後も、手術する病院や先生について必死で調べましたね。とにかく出産のリスクを最小限に抑えたかったんです。
おかげで切除範囲も最小限にとどめてもらえて、今のところがん化せずにすんでいます。
偏見やがんへの恐怖が少しでも減るように
――SNSで手術について公表されましたが、印象的だった声はありますか。
井口 「私も高度異形成で手術したけど、今は3人の子どもを育てています」といった、治療後に問題なく妊娠・出産された方からのコメントには勇気づけられました。
ネガティブな方では、「子宮頸がんは性感染症だから」みたいなことを言ってくる人がいましたね。まぁ、想定内ではあったんですけど。
――そうだったんですね。
井口 くるだろうなとは思っていましたが、手術などを経験した女性もたくさんコメントをくださっている中、よくそんなコメントをするなと思って怒りを覚えて。他の人が見たら嫌な気持ちになると思ったので、さすがにそういったコメントは削除しました。
医師の兄からも、「よく公表したね」と言われましたね。
――医療従事者のお兄さんからも反応があったんですね。
井口 医師の兄は子宮頸がんの正しい知識を持っていますが、一方で、そういった偏見が根強く残っていることもわかっていたからこそ、心配だったのだと思います。
――井口さんの公表は、そういった偏見をなくすためでもあった?
井口 私自身、知識もなく、最初に「中等度異形成」の診断を受けた時には、「自分はがんになってしまったのか」と思ったくらいでした。
でも、いろいろと調べて知識をつけていくと闇雲に不安になるようなことは減っていったし、決して恥ずかしい病気ではないこともわかりました。
私はたまたま芸能活動をしていて、発信できる手段がある。だったら、科学的な知見に基づかない誹謗中傷を恐れるよりも、同じ思いをする女性が少しでも減ったほうがいいなと思ったんです。
今不安がないかといえばそれは嘘になりますが、「こうなった場合にはこういう処置ができるよね」と、医学的な知識に基づいた冷静な判断ができると、心持ちは全然違うんです。
写真=榎本麻美/文藝春秋
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