——結婚したことで、千種さんのなかで何か変化はありましたか?
千種 結婚してから早発閉経のことを公表するまでに間があったので、その時に会った人たちに「結婚おめでとう、子どもは?」って聞かれて、「まだいいかな」ってお茶を濁すので精一杯になることはありました。早発閉経を公表してからも、「こうすれば妊娠できるんじゃない?」とアドバイスをくれる人もいて、どちらも悪気がないのはわかってるんですけど、色々やったうえでようやく諦める決断をしたのに、それを掘り返されるのはしんどかったですね。
——長く抱えていた気持ちを切り替えるのは簡単ではないですよね。
千種 私の場合は、自分が気づかないうちに「子どもを産む」という選択肢がなくなっていました。「もっと早く原因をつきつめるように動いていればもしかしたら……」という後悔がずっと残ってるからこそ自分の経験を伝える活動をしてきました。その過程で、映画監督の野本梢さん、映画プロデューサーの稲村久美子さんと、映画『藍反射』を制作させていただきました。この映画は、野本さんに私の経験を話したところからスタートし、ドキュメンタリーではなく、彼女が脚本を1から創作してくださったのですが、こういった物語を届けることで、同じ思いをする人を減らすことができたと思えたら、自分の中にある子どもを望む気持ちからもいつか卒業できるんじゃないかと思って。
やっと認められた「私は本当に子どもがほしかったんだな」という気持ち
——卒業できそうですか。
千種 まだ卒業できる気はしないし、最近は卒業しなくてもいいのかなと思うようになりました。ずっと「どうせ産めないんだから」と子どもがほしい気持ちに蓋をしてきたんですけど、子連れの家族を見ると「いいな」と思ってしまう。見るのが嫌なわけではないんです。ただ、うらやましいなと思う自分がいる。それを止めなきゃと思ってたんですけど、最近やっと「私は本当に子どもがほしかったんだな」ということを認められるようになってきた気がします。
——叶わなかったとしても望んだことまで否定する必要はない、と。
千種 不妊治療をやめた人にもグラデーションがあると思うんです。割り切れたように見える人でも実は葛藤があるかもしれないし、同じ人でも日によって感情に波はある。私自身「子どもを産む以外の道を大切にしよう」という気持ちも「本当は子どもがほしかった」という後悔もどちらも抱えてます。
自分が本当はどうしたいか、これからどういう人生を歩んでいきたいか、もう一度考え直しているところなんです。
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映画『藍反射』上映情報
シアターキノ(北海道札幌市中央区)
8月29日(土) 上映後舞台挨拶あり
8月31日(月)
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