26歳のときに早発閉経(早発卵巣不全)の診断を受け医師から「子どもを産めないかもしれない」と告げられた千種ゆり子さん(38)。

 お天気キャスターとして青森で活動をはじめた矢先に診断を受け、東京に戻って不妊治療を開始した。

 職場に隠しながら治療を続ける日々、卵巣摘出手術を受けた後に下した“出産を諦める”という苦しい決断について話を聞いた。(全3回の2回目)

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千種ゆり子さん ©文藝春秋 撮影・佐藤亘

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——不妊治療はどんな方法なのでしょう。

千種 排卵誘発剤を使って、卵子が育つようにホルモンバランスを整えるんですけど、毎日決まった時間にお腹に注射を打つ必要がありました。仕事中でも5分ほど抜けてお手洗いに行って、個室で注射を打って戻ってくるような生活を送ってました。

——大変そうです。

千種 注射は慣れてルーティーン化してしまえばそんなに負担にはならなかったです。それよりも周りに言えないからこその悩みを抱えてましたね。

——職場では不妊治療のことを話さなかった?

千種 一切言ってませんでした。不妊治療って、日本だと結婚した夫婦が妊娠できなくて始めることが多いイメージがあるじゃないですか。だから独身なのに不妊治療をしていること自体が説明しづらくて、職場にもずっと隠し通してました。東京でも1年目の冬からお天気キャスターの仕事がまたできるようになったんですが、体調が悪いと思われてキャスティングに影響が出るのも不安でしたし。

「今度こそは」と期待して、「今回もダメだった」と落胆する繰り返し

——そもそも仕事をしながら治療を続けるのは大変そうです。

千種 仕事はシフト制だったので調整はしやすかったんですけど、それでも病院がすごく混んでいて診察が長引くと遅れそうになる日もありました。何度も続くと「なんの病院?」と聞かれかねないので、「病院で遅れます」と言うこともできなくて。

 

——治療の効果はどうだったのでしょう。

千種 毎週病院に行って「今度こそは」と期待をしながら結果を聞いて、でも卵子が育っていなくて。「今回もダメだった」と落胆することの繰り返し。沈む気持ちを一人で抱えながら過ごす日々でした。

 不妊治療のクリニックはカップルで来ている方が多くて、傍から見ると2人で支え合って頑張ってるように見えるんです。その中で「なんで私は1人でやってるんだろう」って落ち込んでしまって……。一部の友人には打ち明けていましたが、同じように不妊治療をしてる人はいなかったし、苦しみを誰とも共有できなくて自分だけが取り残されたような感覚でした。