データを提供するユーザーを「馬鹿なやつら」と呼び、安全より成長を優先した若き日のマーク・ザッカーバーグ。著名IT記者であるカーラ・スウィッシャー氏の新刊『世界を壊したビッグテックの悪党ども』(訳者:新田享子/発行:講談社)から、彼がいかに「かなりの問題人物」だったかに迫る。公開対談で気絶寸前になる脆い素顔と、ずさんで強欲なフェイスブック急成長の裏側とは?(全2回の1回目/続きを読む

フェイスブック創業者マーク・ザッカーバーグ氏 ©getty

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「彼は気絶するかもしれない」

 マーク・ザッカーバーグの卵形の顔は蒼白、汗が滴り落ちている。今にも私の足元に倒れてきそうだ。フェイスブックの複数の幹部から、CEOは緊張すると倒れるときがあると聞いていたが、冗談だと思っていた。何年か前にも、「彼は人前で話すとパニック発作を起こすから、気絶するかもしれない」と人に忠告されていた。

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 あの人たちは、インタビューで私たちがザッカーバーグに優しくするように仕向けたかったのではないか。当然、そうはならなかった。2010年、カリフォルニア州ランチョ・パロス・ベルデスで開催されたATDカンファレンスのメインステージで、ウォルトと私はこの脆い若者を厳しく追及した。ザッカーバーグは、このカンファレンスの名物である赤い椅子に座っていた。スティーブ・ジョブズのようなテクノロジー界の伝説的な存在が座ったのと同じ椅子だ。

 この年で最後になってしまうのだが、ジョブズもカンファレンスに招かれていて、ザッカーバーグは私に太平洋を望むレストランでジョブズと夕食を共にしたいと言ってきた。心からそう望んでいるのを感じて、いじらしかった。このインタビューが行われたのは、フェイスブック設立からわずか5年後、上場の2年前である。この対談はザッカーバーグが公の場で語る華々しいデビューとなった。