1人で抱え込まずにチームで人を育てる

関森 社長から、「一人で抱え込まなくていい。チームなんだから」と声をかけていただいたんです。

 それまでは、自分一人で育てなければいけないと思い込んでいました。でも、その言葉をきっかけに周りへ相談するようになり、「辞めたい」と話していた本人とも、みんなで向き合うようになりました。

 結果的に研修期間は半年ほどかかりましたが、無事にデビューしてくれたんです。その経験を通して、一人で育てるのではなく、チームで育てることの大切さを学びました。

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ーー女性初の店長として、新たに向き合わなければならない課題もあったのでしょうか。

関森 浅草には18社ほどの人力車会社があり、会議では男性ばかりの中で意見を伝えなければならない場面もあります。

 また、部下が失敗をした時には責任者として謝罪することもありますし、女性だからなのか、同じことを伝えても柔らかく受け止められてしまい、こちらの意図がうまく伝わらないと感じることもありました。

学歴や経歴よりも「その人自身」を見る

ーー店長として多くの後輩を育てる中で、ご自身の考え方も変わっていったのでしょうか。

関森 以前は何でも自分一人で何とかしようとしていました。でも、それではうまくいかないことも多かったんです。例えば注意をする時も、頭ごなしに叱るのではなく、「なぜそれがいけないのか」まできちんと伝えることを心掛けるようになりました。

 人力車業界は入れ替わりも激しく、お客様へのお声がけで心が折れてしまう子も少なくありません。だからこそ、一人ひとりと向き合いながら、安心して成長できる環境を作っていきたいですね。

©佐藤亘/文藝春秋

ーー採用や新人研修にも携わる中で、「大切にしたい」と思っていることはありますか。

関森 学歴やこれまでの経歴ではなく、その人自身を見るようにしています。謙虚に努力を続けられるか、目の前のことに真剣に向き合えるか。そうした姿勢を何より大切にしています。

 順風満帆に見える人よりも、一度悔しい思いを乗り越えてきた人のほうが、人の気持ちに寄り添えますし、長く成長していけることも多いと感じています。

車夫の仕事で最も大変だったこと、良かったこと

ーー車夫というお仕事は体力勝負でもあります。これまでで一番大変だったご案内を教えてください。