〈あらすじ〉
1990年代のイラク。フセイン大統領が、国民に自身の誕生日祝いを“強制”していた時代。祖母と二人暮らしをする9歳の少女ラミア(バニーン・アハマド・ナーイフ)は、小学校のくじ引きで、名誉ある「大統領のケーキ係」に選ばれてしまう。親友のサイード(サッジャード・モハンマド・カーセム)は「果物係」。二人とも家が貧しく、そんな余裕はなかったが、もし断ったり準備ができなかったりしたら、ひどい罰が待っている。仕方なくケーキの材料を調達するために、ラミアは祖母と“友達”の雄鶏ヒンディとともに町へ向かうことに。
ところが祖母が訪ねたのは飲食店を経営する友人夫婦。ラミアの養育を彼らに託そうというのだ。ショックのあまりヒンディを連れて逃げ出したラミア。そして誕生日の準備さえできればもとの暮らしに戻れるはず……と、サイードと協力してケーキの材料と果物を集める決意をする。
〈見どころ〉
この時代のイラクを描いた初めてのイラク映画。キャスト全員が演技未経験者というのも新鮮。
フセインの誕生日を祝うため!? 9歳の少女がイラクの町を駆け回る
イラク出身のハサン・ハーディ監督が、子どもの頃に“フセイン大統領の誕生日を祝わされた”経験をもとに製作。カンヌ国際映画祭で新人監督賞、監督週間観客賞をW受賞、さらにアカデミー賞国際長編映画賞ショートリスト15作品にも選出された話題作。
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芝山幹郎(翻訳家)
★★★★☆水平移動の撮影が似合う沼地と、奥行きのある映像に好適な雑踏。素晴らしいコントラストが、背景のみならず細部にも及んでいる。あどけない話に見えて痛烈で、対象をじっと見据えた視線がスパイシーな独裁批判をもたらす。
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斎藤綾子(作家)
★★★★☆目まぐるしく展開する過酷な状況、祖母の必死さを理解するや深刻な現実に震えあがる。鶏ヒンディに自己投影して可愛いラミアが危うくなる場面でジタバタ。フセインの誕生日を祝うパレードが何とも不気味で安堵できず。
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森直人(映画評論家)
★★★★☆イラン映画『友だちのうちはどこ?』を連想するが、ユーモアと痛切さが入り混じった複雑な味がする。理不尽な“ミッション”を強いられた子供の冒険から、圧政下の様々な感情が溢れ出す。運動性と身体性の注視が素晴らしい。
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洞口依子(女優)
★★★★☆冒頭からティグリスとユーフラテス川が流れる国のフセイン時代を遡る記憶とカタルシスの寓話。あの川の流れにたゆたゆと浮かぶ、街角の鶏を抱く少女の姿に吸い寄せられた。キアロスタミ作品を初めて見た感動が蘇るよう。
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ゲスト評者
竹田ダニエル(ジャーナリスト・研究者)★★★★☆子供たちが様々なキャラクターに出会う冒険物だが、背後には常に戦争や独裁政治の恐怖が潜み続ける。その影響で生まれる理不尽すぎる苦しみを、大袈裟ではなく繊細かつリアルに描く。演技とシネマトグラフィーが秀逸。
たけだだにえる/1997年生まれ、アメリカ出身・在住。「カルチャー×アイデンティティ×社会」をテーマに執筆、研究。2023年「Forbes JAPAN 30 UNDER 30」を受賞。著書に『世界と私のAtoZ』、『アメリカの未解決問題』(共著)など。
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- 私にはハマりませんでした。★★☆☆☆
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© 2025 TPC FILM LLC. All Rights Reserved. 配給:松竹
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『大統領のケーキ』
7月10日(金)~
監督・脚本:ハサン・ハーディ
2025年/イラク・米・カタール/英題:The President’s Cake/105分
https://movies.shochiku.co.jp/presidentscake/




