〈あらすじ〉

 1943年11月。ローザ(エリーザ・シュロット)はベルリンの空襲から逃れ、夫の両親が暮らす東プロイセンの田舎町へと辿り着く。戦地ロシアに従軍中の夫の帰りを待つ間、ここでの仕事を探さなくてはと思っていた矢先、突然ナチス兵たちに連れて行かれたのは、森の中にあるヒトラー総統の大本営。そこで6人の女性たちとともに、なぜか豪華な料理を振る舞われたかと思ったら、実は彼女たちの役目はヒトラーが食べる料理の“毒見役”だという。以来、毎月200マルクの給料を得ながら、毎日死と隣り合わせの食事を続けることに……。

 そんな中でもローザは、エルフリード(アルマ・ハスーン)を始め、自分と同じように戦争で家族を亡くした毒見役の女性たちと打ち解け、連帯するようになっていく。また、特殊部隊から来たツィーグラー中尉(マックス・リーメルト)とも急接近し――。

〈見どころ〉

「ヒトラーの協力者とみなされる」ことを恐れて口をつぐんでいた女性の証言から生まれた物語。その複雑な心理と結末。

©2025 Lumière & Co. / Tarantula / Tellfilm / Vision Distribution 配給:アンプラグド

唯一の生存者が語った知られざる物語
95歳のドイツ人女性が語ったのは、ナチスに命じられヒトラーの毒見役を務めていたという事実。本作は、その証言をもとにイタリア人作家が書き、世界的ベストセラーになった同名小説を映画化したもの。ナチスに運命を翻弄された一人の女性の物語。

  • 芝山幹郎(翻訳家)

    ★★★☆☆着眼点が技ありで、撮影が手堅く、脇役の地道な働きも映画の底を支えているが、情感の盛り方がメロドラマ的になりすぎたのが惜しまれる。効果的なカードを序盤で切りすぎてしまって、後半は手詰まりに陥った印象が強い。

  • 斎藤綾子(作家)

    ★★★★☆上質な食材で美しく調理された膳を食べきる毒見という残酷さ。空腹をリアルに描写するためか女たちの諦念を表したいのか、不幸には見えない。知的で美貌のヒロインが生き延びて生まれた本作。実際の恐怖は想像もできない。

  • 森直人(映画評論家)

    ★★★☆☆権力者と毒見役チームの特異な主従関係。想定以上の深掘りはあまり見られないが、独裁と暴力が女性の身体にどう刻まれるかを、日々の食事というミニマルな行為で描き出す。恐怖の中で育つ連帯は静かな抵抗のひとつの形だ。

  • 洞口依子(女優)

    ★★★☆☆演劇にも向いてそうな舞台設定。毒見役の7名の女性を映像の中でバランスよく描く。前半は追えるのだが後半なぜか迷走気味。当時の勢いなら非情にもありそうだが、決してあってはならない非人道的な実話からの映画化。

  • ゲスト評者
    片岡一郎(活動写真弁士)

    ★★★★☆主人公は表題通り、毒見役の女性だ。しかし不在を貫く二人の男性を推進力として展開される物語は、むしろベケットの『ゴドーを待ちながら』を思い出させる。不在者の正体を想像しながら歴史の背後を想像するのも一興か。

    かたおかいちろう/1977年生まれ。2002年に澤登翠に入門、同年デビュー。日本を代表する活動写真弁士として国内のみならず国際的に活動中。映画『カツベン!』の実演指導や『ゆきてかへらぬ』などに弁士役で出演も。著書に『活動写真弁史 映画に魂を吹き込む人びと』がある。

  • 最高!今すぐ劇場へ!★★★★★
  • おすすめできます♪★★★★☆
  • 見て損はない。★★★☆☆
  • 私にはハマりませんでした。★★☆☆☆
  • うーん……。★☆☆☆☆
ローザは、ベルリンでエンジニアだった夫と秘書として知り合い、4年前に結婚。子どもはおらず、従軍した夫から届く手紙を心待ちにする普通の女性。その目線で描かれる銃後のドイツとは。
©2025 Lumière & Co. / Tarantula / Tellfilm / Vision Distribution 配給:アンプラグド
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『ヒトラーの毒見役』
7月31日(金)~
監督:シルヴィオ・ソルディーニ
原作:ロッセラ・ポストリノ「ヒトラーの毒見役」
2025年/伊・ベルギー・スイス/
原題:Le assaggiatrici/123分
https://unpfilm.com/dokumi/