金子:しかも児玉さんの小説ってめちゃくちゃ強いんですよ。文章の密度がものすごくて、それなのに可読性もちゃんと高い。たぶんそれって作詞をされているから、短いフレーズで刺しにいきつつキャッチーに書けるんだろうなって。文学としての密度とエンタメ性が両者を高め合っているのが児玉さんの小説のすごいところです。
児玉:ありがとうございます。我々が“光の作家”を目指している点で一致しているのは、我々が二人とも舞城王太郎が好きなことが理由の一つですよね。
金子:そう、舞城さんの小説って本当にピュアなんですよ。世界をぶち壊すような物騒なことが起きるんですけど、最後には愛と希望を叫ぶ。こんなひどい世の中でも、人間は愛を抱いて生きていくべきだし、光を見続けなきゃいけないと言ってくれる作家なんですよね。
児玉:文体が注目されがちですが、金子さんが舞城作品から影響を受けているのは文体やミステリーの部分ではなくて、むしろメンタリティの部分じゃないかと、いち読者として勝手に解釈しています。どれだけ暴力や悪いものにまみれた世界でも、かすかに見える光を信じ続けようという精神性。
金子:私も児玉さんの小説や歌詞から舞城的なピュアネスを感じていました。これからもフィクションだからこそ、声高に光を描いていきたいですね。
児玉:冷笑を“熱笑”し返す“光の作家”になっていきましょう!
金子玲介(かねこ・れいすけ)
1993年神奈川県生まれ。慶應義塾大学卒業。『死んだ山田と教室』で第65回メフィスト賞を受賞し、2024年単行本デビュー。「2025年本屋大賞」にノミネートされる。著作に『死んだ石井の大群』『死んだ木村を上演』『流星と吐き気』『クイーンと殺人とアリス』がある。26年4月、最新作『私たちはたしかに光ってたんだ』を刊行。
児玉雨子(こだま・あめこ)
作詞家・小説家。神奈川県出身。アイドルグループ、声優、テレビアニメ主題歌やキャラクターソングを中心に作詞提供を行う。2021年に小説『誰にも奪われたくない/凸撃』(河出書房新社)を刊行。2023年に『##NAME##』(河出書房新社)が第169回芥川賞候補作にノミネート。同年に文芸エッセイ『江戸POP道中文字栗毛』(集英社)、2025年に『目立った傷や汚れなし』(河出書房新社)を発売。
