だが、これは根本的に逆だ。値札を見ずに美しい指輪を見せられて、気に入ったと思って値札を見てみたら数百万円だった、というのでは幸せになれない。
「世帯年収に対してローンがいくらまでなら組めるのか、そして組める上限まで借りることが本当に幸せかどうかを先に考えてほしいのです」とK氏は続ける。ローンの審査は銀行によって大きく異なり、A銀行では5000万円しか借りられなくても、B銀行なら6000万円まで通る、というケースもある。
銀行が貸してくれるというのだから、上限まで借りても十分返せるはずだと短絡的に考える人もいるが、銀行はそこまで親切に考えているわけではない。我が家ならいくらが無理のない借入額なのかを判断するのは、ほかならぬあなた自身だ。
「良い物件に出会えない」人の共通点
まず資金計画を固め、月々いくらまでなら無理なく払えるかを把握したうえで、上限を設定する。旅行にも行きたい、子どもに習い事もさせたい――そういう生活全体を見渡したうえで、住居費にかけられる上限を決める。この順番を間違えてはいけない。「いつ買うか」の期日を決めることも重要だ。気持ちはあっても、期日のない人は買わない。
それは行動に表われる。家族がいるのに、いつも一人で物件を見に来る人は、「本当に買う人」ではないと現場のプロたちは判断している。資金計画が決まり、エリアと条件の優先順位が固まれば、実は候補物件の数はそれほど多くない。
K氏によれば、条件を絞り込んだうえで住宅情報サイトを見ると、見に行くべき物件は多くて10件、たいていは5~6件、少なければ二択か一択になるという。その中から70点以上の物件が見つかれば、買う覚悟を持って動くことが肝要だ。
「広くて安くてきれいで便利な『100点満点の家』は存在しません。何に妥協するかを先に決めておくことが大切です」とK氏は言う。そこがわからず何も妥協できない人は、幻の物件を探し続けることになる。