さらに言葉を続けようとしたが、次の言葉が出てこない。左手をおでこに当てて考え込むような仕草を見せ、「で…」と声を絞り出す。目を大きく開けて視線を揺らすと、左手で耳を触り消え入りそうな涙声で「ごめんなさい」と目の前にいるレポーターたちに謝った。
涙ぐんで謝られれば、それ以上、彼女の内面に踏み込むことは難しくなる。「そう思っていながらも、あなた早く帰ってきてとか、言ってしまう」という聖子に、レポーターたちは相槌を打つばかりだった。
この会見で聖子は“良き妻になれなかった”というレトロな家庭観・女性観を表現する発言を多くしている。
「私が、女性として、妻として、正輝さんの(ん~っ)ために、家にいて、きちんとやってあげられなかった。私が至らなかった」
アイドル歌手である一方で、「女性として、妻として」と、結婚し家庭を持っていた1人の女性としての立場を強調している。
「正輝さんの」と名前を呼ぶときに「ん~っ」と舌先を唇で挟んで覗かせる仕草は、傷つきながらも辛い感情に耐えているような印象を与える。
さらに「ために」で眉間にしわをよせて語気を強めることで、それでも気丈に振舞っているように見える。声をつまらせ涙声で反省する姿を見せることで、わがまま、身勝手と非難されることを防いだともいえる。
「これ以上夫婦でいると、もっともっと……」
離婚について話す時は、視線を上げて前を向きながらも寂しげな笑顔を見せた。
「これ以上夫婦でいると、もっともっと、やっぱりほら求めることが、妻なので大きくなるので、もしそういうプレッシャーをお互いに取ってしまったならば、もっと優しくなれるというかね、あの、こう」
声が震え、感情が高まっていくように声も高くなっていく。笑顔を見せるが辛そうで寂しそうだ。それでもこぼれる涙をぬぐい、顔を上げ無理に笑っているような笑顔を見せた。
「聖子さんにとっての12年間は?」と聞かれると、視線をあげて前を見る。
「色んな形で守って頂きましたので、安心して色んなことができましたし、とても素晴らしい12年間でした」
ここでは落ち着いた凛とした表情を見せ、「素晴らしい12年間でした」と淡々と語った聖子。至らなかったと涙した時は妻の顔だったが、12年間を振り返った時はスターの顔。それは家庭より仕事を選んだプロの顔だった。
家庭的で別れを悲しむ健気な女性と、自分の人生を自分でコントロールするスター。2つの表情が溶け合って同居する見事な記者会見だった。
その他の写真はこちらよりぜひご覧ください。

