本書の記述は当事者や関係者の「証言」と「物証」に依拠した。松永拓也はあらゆる質問について証言し、妻の育児日記も見せてくれた。プライベートをほぼさらけ出してくれたといっても過言ではない。
飯塚の長男も同じ姿勢で臨んでくれた。彼は自身が作成したメモや、父親の日記などを提供してくれた。
事故の現実を記録して欲しい
次に「物証」に関して。事故の描写の記述には根拠がある。当初、東京地方検察庁で訴訟記録を閲覧しようとたが、閲覧まで時間がかかる可能性や、量が膨大で全部が開示される可能性は高くないと考えた。また、謄写の手間や黒塗りのリスクなども懸念した。そんななか、幸運にも事故の捜査資料を入手できた。また、数年を要して、事故の核心ともいえる飯塚の車のドライブレコーダーの映像も見ることができた。
ドラレコ映像には特定の被害者が映っていたため、その描写には倫理的な問題が発生する。
私は、すでに亡くなっている松永真菜さんと莉子ちゃんの代理として、夫であり父である拓也に相談した。拓也は心情的な理由で映像を全て見たことはない。しかし、それでもなお、事故の現実を記録して欲しいという理由で、私の申し入れを承諾した。
第一被害者の石川憲一も同じく了承した。そして、飯塚の長男とも議論を重ね、彼も悩んだ末に決断した。この背景には、松永拓也という稀有な遺族の影響があった。
その経緯は本書の後半で詳述する。本書では重要な事実に関わるものは出典を明記するが、それ以外は省略する。紙幅の関係上、有識者の見解などは最小限に留め、事実の評価は読者に委ねたい。
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本の中身は【下記リンク】「なぜ速度が落ちないのか」死傷者12人、妻と娘を失った男性も…《池袋暴走事故》加害者・飯塚幸三が見た「大惨事の予兆」 で読むことができる。
