個性を出さないとSNS上で埋没するし、ルッキズムと戦わないと整形せざるを得ない。その圧力が極度に強すぎて、極端に個性を出す人たちが出てきた。本当の意味での自己表現というより、昔にはなかった過剰な圧力によって、生み出されざるを得なかった――冷静に分析すると、そういうことなのではないかと僕は思っています。
若者は“板挟みのプレッシャー”の中で生きている
最後に、この世代を理解するうえで、いちばん大切だと思うことを述べます。
僕たち大人は、たいてい「どちらか一面」だけを見てしまいます。痩身薬や高額整形のニュースを見て「今の子はルッキズムがやばい」と眉をひそめる人。あるいは、娘や妻がXGやHANAに夢中なのを見て「個性の時代でいいなあ」と感心する人。この記事を読んでいる方も、どちらかに心当たりがあるのではないでしょうか。
でも、両方とも真実なのです。しかも、別々の人がそれぞれ言っているのではなく、多くの人が両方を心の中に同時に持ってしまっている。ここが、いちばん大切なポイントだと思います。
XGやHANAに憧れる。でも、彼女たちには歌やダンスの実力、強烈な個性があります。外見だけ真似ても「何もできない自分」になるだけだから、なりたくてもなれない。一方で、高額整形や痩身薬には「ビジュアルは羨ましいけれど、そこまでやるのはおかしい」と感じている。なりたくてもなれない理想と、なりたくない理想。その二つを同時に抱えて、板挟みのプレッシャーの中で生きているのが、今の若者たちなのです。
Z世代の「両面」を知っておく
だから、「今の子はすぐ整形するのか」と言ってしまうと、若い人たちは“わかってくれていない”と感じます。逆に「容姿にとらわれない、いい時代だね」と言っても、“現実は違うのに”と思われてしまう。この両面を知っておくことが、若い人とコミュニケーションを取るうえで、すごく大切なのではないかと僕は思っています。