この頃、斎藤被告は「首吊り士」をフォローしていた。「首吊り士」というのは、2017年10月に発覚した座間市男女9人殺害事件を起こした白石隆浩・元死刑囚(執行済)のアカウントの1つだ。
「B子さんとのやりとりの中で、B子さんが『首吊り士』とやりとりをしていたことがわかりました。そのため、B子さんに『見せてほしい』と言いました。見せてくれました。私もフォローをしましたが、(白石が)捕まる直前からです。フォローもされました。そのときは誰(のアカウント)という認識はありませんでした。このころ、心中相手を募集している雰囲気があるアカウントを片っ端からフォローしていました」
事件発覚後、「首吊り士」のアカウントをフォローしているアカウントに、マスコミはDMを送っている。筆者もその1人だ。その連絡で、斎藤被告は座間事件と「首吊り士」のアカウントを結びつけたという。そして、自らの事件でも白石の手口から着想を得ていた。
「自宅で遺体を処理するというところは参考にしました。それまで自宅で(遺体を)処理することは考えていませんでした」
自分の部屋を“事件を起こせる”状態にセッティング
B子さんを殺害する場所の候補は、B子さんの自宅か、斎藤被告の自宅の二択だった。斎藤被告は「最初から自宅で行うことだったわけではない」と話したが、そもそも自宅で人を殺害しようとする思考は、通常ではない。しかも斎藤被告は両親と同居していたのだ。
DMでやりとりを続ける中で、斎藤被告は自身の発言について「気を遣っているという思いはあった」と振り返る。文面では多くの場面で聞き役に徹しており、B子さんを自殺、あるいは承諾殺人へ積極的に導いているわけではない。
しかし、B子さんは斎藤被告と会うのを躊躇し、一度は決めた承諾殺人の日程をキャンセルしている。
B子さん <申し訳ないですが、やめようと思う。このやり方が(一人でする)自殺よりもダメージが大きいですから/懸案事項があるので迷います>
斎藤被告 <気が変わったら声をかけてください>
斎藤被告はこの点について、「死にたい気持ちがあるにもかかわらず、家族への気遣いをしているのだろう」と推測し、「死なない方向に舵を切ったら、そうしたほうがいい」と考えていたという。B子さんから中止の話が出た時も、実際にすんなりと受け入れている。
しかし同時に、斎藤被告は自分の部屋を“事件を起こせる”状態にセッティングし、着々と準備も進めていた。