今村 そうね。

 でも、人間って面白いもので、コミュニティの作り方によって、敵と味方が変わるんですよね。

 例えば四国の中でも、高知から見たら「愛媛の奴は」とか言うじゃないですか。

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 僕ら関西でも、僕は京都ですけど、「大阪人と一緒にせんといてほしい」と言ったりする。大阪の人は大阪の人で、「京都はお高くとまって」とか言う。

 でも、外から「関西人は」と言われたら、急に関西人として協力するんですよね。

――四国の中では争っていても、外から「四国の人は」と言われたら一つになる。

今村 そう。さらに「日本の奴らは」と言われたら、日本人として連合を組む。

 僕らの現代の感覚でもそうなんですよね。

 でも、「地球の奴らは」と言ってくる敵がいないだけなんです。

――例えば宇宙人が来たら。

今村 そう。『インデペンデンス・デイ』みたいに宇宙人が来たら、一応、地球人として団結できるかもしれない。

 でも、それは「共通の敵がいないと団結できない」ということでもある。

――それ自体が問題だと。

今村 そうなんですよね。

 敵を作るのが一番手軽なんです。だから、人間は敵を作ろうとする。

 共通の敵を作る以外に、どうやってまとまればいいのか。人間はまだ、その最適解を導き出せていないのかもしれないですね。

「理想をなくして、現実を語っては駄目」

――お話を伺っていると、今村さんはすごくロマンチストなのだと思いました。

今村 夢想家であり、ロマンチストなんでしょうね。

「理想ばかり言ってないで、現実を見ろよ」という話も分かるんです。

 でも、理想をなくして、現実を語っては駄目やと思うんですよ。

――だから、この本に惹きつけられるのだと腑に落ちました。

今村 多分、みんな本当は、心のどこかでそうやって生きたいんやと思います。

 誰かを信じたい。自分も、そういうふうに生きたい。

 この本に共感してくださる人がいるということは、こういう気持ちが、まだ人間の心の中に残っているということやと思うんですよね。

――読む人によって、誰に感情移入するかも変わる作品だと思います。ぜひ読んでほしいです。

今村 そうそう。ぜひ読んでほしいね。

 松山の場所もあっちこっちに出てきますから。道後とかもね。

――愛媛のさまざまな土地も登場します。ぜひ『海を破る者』を手に取っていただければと思います。

(了)

「坂の上のラジオ」収録後の今村翔吾さん(右)と佐伯りさアナウンサー(左)

※本記事は、「坂の上のラジオ」(毎週土曜正午から南海放送ラジオで放送中)の今村翔吾氏ゲスト回を元に再構成しました。聞き手は同局アナウンサーの佐伯りさ氏。

海を破る者 (文春文庫)

今村 翔吾

文藝春秋

2026年7月7日 発売

最初から記事を読む 「なんか訳分からん行動してる奴が一人いる」世界最強・モンゴル軍を前に、防塁の“外”へ出た鎌倉武士の謎