最新刊『部下としてのAI 世界一流エンジニアの進化術』が版を重ねる、米マイクロソフト現役エンジニアの牛尾剛さん。AIを駆使し、同僚から「速すぎる!」と悲鳴が上がるほど生産性を高めた牛尾氏が、ポストAI時代に「10倍の成果を出す人」と「淘汰される人」の分岐点を伝える。
(※本稿は、前掲書から一部抜粋したものです)
◆◆◆
AIでオプティマイズ(最適化)する
ポストAI時代において、業務上の「あらゆる変化に即座に対応できる力」をつけるために私はAIに全ベット(賭け)している。
先にも触れたように、元来の私は、エンジニアとして自分の手でコードを書いて、技術的な課題を解決したり新しいサービスを世の中に出す「モノづくりが好きな」人間だ。しかし今、私はすべてのワークフローをAIでオプティマイズ(最適化)する戦略をとっている。自分なりに高い生産性を出すスタイルをAIとともに模索したことで、仕事の風景は激変した。
例えば、GitHubのissue欄には、「こんな不具合で困っている」「こんな新機能がほしい」といった要望が登録されている。これまでの私なら、まずこのissueを読んで内容を理解し、複雑に絡み合った複数のリポジトリを横断的に調査し、どのコードをどう修正すべきかを考え、テストを回し(時には面倒なマニュアルテストをこなし)、ドキュメントを更新していた。
だが、今ではissueを片付ける際には、専用の自作コマンドを一発打つだけだ。すると優秀なAI部下が私の意図通りに解析を終え、検討結果をドキュメントにまとめて提示してくれるので、私は「なるほど、良さそうだな」と判断するだけだ。
実装フェーズでも同様だ。先にも紹介した「テスト駆動開発」(TDD)を応用して、少しずつテストして実装を固めていくやり方をAIに覚えさせ、本来なら人がマニュアルで行うE2Eテストや、そのエビデンス作成までも、あらかじめ組んでおいた命令セットでやらせている。
さらには、PRの管理もAIの仕事だ。私がつくったすべてのPRの状況をAIが巡回し、「新しいコメントがついたよ」「このステータスが変わったよ」と最新の状況を報告してくれる。それと同時に、プロジェクト全体の状況をまとめたドキュメントも自動で更新される。いちいち個別にチェックしにいく必要がなくなったのだ。
このように部下としてのAIエージェントに働いてもらう仕組みを一つひとつ構築した結果、私の開発スピードは劇的に上がり、まさに“左団扇の状態”になった。
「ツヨシはプログラムを書くのが速すぎて、一日に4つもPRをつくってしまう。これではレビューする側がパンクするよ!」―周りからそうコメントされるほどに生産性が爆上りしたのだ。
