その後に起訴され、19年8月に懲役4年6か月の実刑判決を受けている。また、被害弁済を求めた積水ハウスの訴えを認めた東京地方裁判所により、21年1月27日に賠償金10億円の支払いを命じられている10人のうちのひとりでもある。
逮捕当時、メンバーの中でも最年少の40代前半だったカトウは、昭和の時代から存在する「地面師事件」の常習犯の中では“ルーキー”だった。さらに言えば、積水詐欺事件で「連絡役」と呼ばれる立場ではあったものの、要するにパシリのような動きをした者だった。
地主になりすまして、他人の土地を勝手に売ってしまう――。地面師事件と呼ばれる詐欺は、グループ犯罪だ。
土地の権利証や本人確認に必要な書類を偽造する「道具屋」、地主になりすます「役者」、その役者の「手配師」、詐欺のターゲットに定めた不動産業者と交渉する「前周り(または“前さばき”)」、さらにこれらを計画する「指示役」など、10人以上のグループによる劇場型犯罪である。
カトウがこなした連絡役は、指示役と手配師、役者、道具屋らとの中継役だ。実際の現場では役者と道具屋が出向く商談のすべてに同行し、商談が終わるまで外で待つ必要があった。そのため、稼働が多いわりに待ち時間が長かったという。
カトウの役割は「地面師の綾野剛」
「地面師」の役割分担は、24年7月にネットフリックスで配信されて話題になった、積水詐欺事件をモデルとするドラマ『地面師たち』の登場人物と絡めて説明したほうがわかりやすいかもしれない。
カトウはドラマで綾野剛が演じた交渉役の仕事の一部を担っていた。道具屋役の染谷将太や手配師役の小池栄子、法律屋を演じたピエール瀧らのような役割を持つ人物たちと連絡を取り合い、間をつないだ。
ただし、ドラマでの綾野剛のように交渉の場に立つことはなく、商談相手のもとに役者を送り込む役割だった。それゆえ「俺は顔が割れてないから大丈夫だ」という思い込みにもつながったのだろう。
ドラマでは綾野や小池、染谷、ピエール瀧以外に、リーダー役の豊川悦司、情報屋の北村一輝という6人に役割が集約されていたが、実際の積水詐欺事件では総勢17人が逮捕され、そのうちの10人が起訴され服役した。カトウを含め罪を自供した者がいる一方、獄中でなおも「自分は無罪だ、冤罪だ」との主張を続ける者もおり、いまだ謎が多く全容が解明されていない事件である。