足立区で起きたハプニングバー経営者夫妻の殺人事件。その取材の過程で浮上したのが、積水ハウス55億円詐欺事件のキーマン・カミンスカス操と、彼に接点を持つ“地面師のパシリ”カトウだった。

 愛嬌あるクマ顔の男がなぜ巨額詐欺に加担したのか――。週刊誌記者が偶然から掴んだ直撃取材の舞台裏を明かす。

 ジャーナリストの河合桃子氏の新刊『地面師連絡役カトウ: 積水ハウス55億円詐欺事件、ある実行犯の告白』(小学館)より一部抜粋してお届けする。(全3回の2回目/最初から読む

ADVERTISEMENT

主犯メンバーのひとり、カミンスカス操(写真:筆者提供)

◆◆◆

きっかけは「ハプニングバー経営者殺人事件」

 私は週刊誌記者を生業にしている。性風俗にまつわるトラブルから殺人事件に至るまで、多くの事件現場に足を運んできたが、17年に発生した積水詐欺事件については、舞台となった東京の品川区五反田付近に住んでいながら、取材に関わることはなかった。当時はまだふたりの子供が幼く、重大事件を取材する時間も体力もなかったし、なにより不動産の専門知識も要するこの事件は自身のカバー範囲外だと感じていた。

 しかし時を経て24年1月、東京都足立区の住宅の床下から夫婦の遺体が見つかる事件が発生した。そしてそれが、すでに刑期を終えていた積水詐欺事件の連絡役・カトウと出会うきっかけとなった。

 殺人事件の取材で、元詐欺犯であるカトウと接点ができたのは、まったくの偶然だった。

 私の得意分野は捜査一課が扱う強盗や殺人よりも、生活安全課が扱う性犯罪系である。足立区の事件の被害者であった夫婦が実は“ハプニングバー”経営者だったことで、「はい、出番ですね!」となったわけだ。

 殺人容疑で逮捕・起訴されたフィリピン人女性のモラレス・ヘイゼル・アン・バギシャ(当時30歳)は、積水詐欺事件の17年当時、東京・浅草のフィリピンパブ嬢だった。