嬢時代のモラレスの源氏名は「アヤ」といい、彼女の店の上客のなかに主犯メンバーのひとり、カミンスカス操がいたのだ。私は足立区の事件の取材でカミンスカス操とアヤの2ショットの写真を入手し、このふたりの関係を知る男として浮上したカトウに、知人を介して辿り着いたのだった。

 変わった名前ゆえ聞き覚えのある人もいるかもしれない。積水詐欺事件が世間に明るみに出る前までは「小山操」という名前だったが、金の詐取後にカミンスカス姓のリトアニア人女性と結婚し、姓を変えている。わざわざ改姓した本人の思惑はわからないが、この珍しい名前はかえって目立ち、地面師グループ内で最も有名人になってフィリピンに逃亡する様子がマスコミ各社にこぞって報じられた。

カトウとの初の出会い

 知人からカトウとカミンスカスの接点はくわしく聞いておらず、まさかカトウが積水詐欺事件そのものに関わる人物だとは思ってもいなかった。

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 初対面はほんの2、3分だった。スナックのような店での勤務中だったカトウは、「中が窺い知れない分厚い扉」をサッと開けて、顔だけヒョコッと出したような姿勢で取材に応じた。そして、私のスマホ画面に映る2ショットを見て、早口でこう言った。

「あ、小山(カミンスカス)さんですね。隣に映る女性は確かにアヤ。アヤの胸元のクロムハーツのネックレスも、小山さんがお気に入りの子にあげてたものですよ」

 こちらが聞きたいことの要点をかいつまんで説明する勘の良さが印象的だった。カミンスカスのお気に入り嬢たちは当時「小山ガールズ」と呼ばれていたなどと、取材者側としては大いに助かるいかにもキャッチーで気の利いたことも言った。