その場で連絡先を交換し、次に会ったのは24年4月のことだった。
法務省が「全国の刑務所・拘置所で受刑者を呼びつけにしていた習わしを廃止して『さん付け』で呼び、受刑者は刑務官のことを『先生』ではなく『職員さん』と呼ぶ運用に変更する」と発表した時のことである。その頃にはカトウを紹介した知人から、「積水詐欺事件で受刑歴もあり、わりと重要なポジションだったっぽい」旨も聞いていた。元受刑者としてその運用をどう思うかという小ネタすぎる取材を申し込んだわけだが、カトウは応じた。そんな人付き合いの良さも感じた。
「元キャッチャー」「ドカベンのような体型」
この2度目の対面でまじまじとその姿を見ると、身長は170センチほどのガッシリとしたドカベンのような体型。後に知ることになるが、実際に野球でキャッチャーをしていた経験があるという。下がり眉で見るからに人の良さそうな顔をしていた。
「クマ顔」とでも言うのか、どこか愛嬌のある顔立ちだ。服装はスウェットにジーンズとカジュアルで、わかりやすいブランドの時計を身につけたり、派手なスニーカーを履いているわけでもなかった。取材の合間に時折見せる笑顔に屈託のなさも感じられて、人に警戒心を与えない印象が強かった。
私は記者として、どこかのタイミングでカトウに、積水詐欺事件にどのように関わったのかを聞きたかった。この「クマ顔の男」が世を騒がせた詐欺事件でどんな役割を演じたのか、純粋に興味があった。もちろん、本人からは簡単に聞けない雰囲気も感じていたので「いつかは本題(積水詐欺事件)に関して取材させてもらいたい」と伝えつつ、機会を窺っていた。
そんな中で始まったのが、24年7月のドラマ『地面師たち』の配信だった。久しぶりにカトウに連絡すると、「配信日に一気見した」と興奮気味な様子だった。
カトウに改めて「あなたはドラマの中では誰が演じた役割だったのか?」と聞くと、「交渉役の綾野剛の『半分の役割』を担った」と答えた。
綾野剛が劇中で“交渉役”という商談相手を騙す役に加え、グループ内の地面師たちに情報をつなぐ“連絡役”も担っていたのに対し、積水詐欺事件での「交渉役」は先に述べたカミンスカス操であり、カトウは表には一切出ない「連絡役」に徹していたという説明だった。
カトウはドラマを観た率直な感想をこう語った。
