白黒ついていないからこそチャンスの“グレー”ビジネス

「いわゆる危険ドラッグと言われるようなものは、僕は初期から生粋のユーザーでしたよ。段々、質が悪くなって、ゲロ吐いたり、キマり過ぎて指が1本も動かなくなったりしたので、やめざるを得なくなりましたが。ただ、その時代の脱法ドラッグと半合成カンナビノイドの市場が違うのは、前者のメーカーは儲かれば何でもいいと思っていたところも多かったと思うんですけど、後者は自分が使っていいと思うものをつくって、売っていたということ。僕の会社も入社条件として、本物の大麻が好きであるということを第一にしていたくらいですから」

 松本としては“脱法”ビジネスをやっているという自覚はなかったのか。

「“脱法”というよりは、“グレー”ビジネスですよね。日本のカンナビス業界の経営者の方に関して言うと、ほとんどはそうだったと思うんですよ。白黒ついていない。だからこそ、チャンスだと」

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 つまり、初期の半合成カンナビノイド市場はグレーだからこそのフロンティア――金が埋まった未開拓地だった。

「そもそも、最初にカプセルという形態を選んだのも、それが食品衛生法のグレー・ゾーンにあったからなんです。だから誰も触っていなかった。僕はそこを弁護士に聞いて調べたんですね。最悪の場合、どういうことになるのかということを確認した上で商売に乗り出した。グレーなら進もう。例えあとで罰金を払わされてもいま儲かるならやろう、という考えでしたね」

※写真はイメージ ©maroke/イメージマート

釈放されたら外でマトリが待っていて…計3度の逮捕

 そして拘置所に入った松本は、取り調べを引き延ばす形で計3度も逮捕される。

「逮捕、勾留は初めての経験でした。職質されたこともなかったので。会社がガサを受けた後に弁護士から『逮捕される可能性が高い』とは言われていましたし覚悟はしていたんですけど、2回目の逮捕は予想外だったのできつかったですね。最初の勾留が20日間経って、『釈放だ』と言われて荷物を片付け、ようやく出られるのかと思ったら、外でマトリが待っていた」

 そして3度目の逮捕/勾留の後、松本は保釈。不起訴となる。しかし大麻グミ事件が、実質的に日本の半合成カンナビノイド・ブームを終わらせたことは間違いないだろう。松本は業界のトップにいたが故に矢面に立つことになった。