なるべく遠くに飛ばす必要があるから、目一杯振り回す。この動作を誤ると、中の排泄物をブリンダッシュにブチまけ、仲間との対立を招く恐れすらある。非常に繊細な技術がいるのだ。

こうして僕らはドローンから逃れていた。

“死臭”に耐えられず新兵は必ず嘔吐する

前線ではブリンダッシュを造り、そこに兵士は仲間数人と身を隠す。戦地で戦うのは敵だけに限らない。

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何週間もシャワーが浴びられず、汗と汚れで真っ黒になった軍服を基地に戻るまで着続けなければならない。僕は今ではどんな死体を見ようが何の感情も湧いてこないが、仲間の汗臭さと周囲に転がる死体の異臭で、新兵は決まって嘔吐する。

さらに、臭いは蚊と蠅を呼び寄せる。蚊と蠅の音で睡眠を邪魔されるだけでなく、見たこともない虫やネズミに噛まれて体中が痛痒くなる。ネズミ捕りのトリモチを仕掛けると、一度に20匹が引っかかったこともあった。

夏場だと食べ物はすぐに腐り、腐った食べ物にウジがわく。缶詰なら大丈夫だろうと思うかもしれないが、腐らない代わりに重くて持ち運びが困難だ。お湯を注ぐ食品は軽いが、お湯を沸かすには火がいる。前線では火の熱と光は敵に発見されやすく、命取りになる。

戦地では食料と水が頻繁に尽きる。いつも喉が渇き、いつも空腹だ。雨が降れば喉を潤せるが全身はずぶ濡れだ。着替えがないから乾くまで我慢するしかない。不快さに加え、朝と夜の冷えとも戦う。そして秋を飛び越していきなり冬になる。極端に気候が変わって、痛いほどの寒さだ。

氷点下20度でもニット帽は被れない

ビタミン不足で兵士は病気になりやすい。水のボトルはみんなで回し飲みするので、風邪はすぐに蔓延する。

日本で一度もコロナに罹患しなかった僕が、戦地で4回もコロナに罹った。高熱でうなされ、体中の関節が痛い。息苦しさを感じて味覚もなくなった。だが、病気になっても戦いは終わらない。熱があるからと戦わずして殺されることを選ぶか、銃を握って戦うか。戦場では体調が優れているときなどない。