不動産を買うなら「今が最後のチャンス」――そんな言葉を不動産会社の営業担当者から聞かされた経験を持つ人は少なくないだろう。しかし現実は、売り手の言葉ほど単純ではない。今年6月、日銀は政策金利を1.0%に引き上げを決定。住宅ローン金利にも直結するこの動きは、不動産市場に何をもたらすのか。

 BUNSHUN MONEY SCHOOLに登場したオラガ総研代表・牧野知弘氏の発言は、常識を覆すものだった。(全2回の1回目/続きを読む

【日本の不動産から外国人も手を引く未来】円安が不動産マーケットに与える|影響「インフレに勝つ不動産」を|金利上昇、円安、物価高…|インフレに勝てるエリアとは?|金融機関も貸し渋りのスタンス【牧野知弘】

(初出:「文藝春秋PLUS」2026年7月11日配信)

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「二度とない物件は、二度も三度もある」

 不動産業界に身を置いて長いキャリアを持つ牧野氏が、まず真っ向から否定したのが「掘り出し物」という概念だ。「不動産には安物に良いものはない、というのは業界の常識」と断言し、「掘り出し物、いいのがありますよ」「二度とない物件です、というのは大抵嘘ですね」と苦笑交じりに語った。二度も三度もある、と付け加えた言葉には、長年この業界を見続けてきた者特有のリアリズムがあった。

 では、そうした幻想を捨てたうえで、今の市場とどう向き合えばよいのか。牧野氏は現状を「暴落ではなく調整期」と位置づける。投資の世界では調整期こそ「底値で掴むためのステイ」であり、プロの投資家たちは今まさに虎視眈々と次の仕込みを待っているという。

牧野知弘氏

金利が上がると銀行の態度が変わる

 金利上昇がもたらす変化で、牧野氏が力を込めて語ったのが金融機関の態度の豹変だ。「金利が上がる時代になると、いきなり態度が大きくなります」。つい最近まで「貸したい、貸したい」と積極的だった銀行が、一転して審査基準を厳しくする。

 この構造は、実際に住宅購入を検討している人にとっても他人事ではない。購入価格が下がっても調達金利が上がれば、プラスとマイナスは相殺される。その上で、牧野氏はこう語った。「投資の目線で考えるときには、自分が狙うエリアで、賃料の上昇余地があるところに買うのがいいです」。