40度を超える酷暑を乗りきるなら、ギンギンに冷えたビールか、抜群に怖いホラーで決まりッ! 「冷やし中華始めました」ばりにホラー作品を一挙公開中の映画館に乗り込みました。中でも評判の高い話題作をチェックです。

今週のターゲット『口に関するアンケート』

〈あらすじ・概要〉人気ホラー作家・背筋が手がけた累計32万部突破の同名小説を、Jホラー界の巨匠・清水崇監督が映画化。「呪われた木」の噂を聞き、肝試しに出かけた大学生たち。しかし翌日、一人が行方不明になり……。映画の最後に提示されるアンケートが、観客まで恐怖の輪へ引き込む。板垣李光人主演。89分。公開中。

 

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 平日火曜の暑い午後、新宿ピカデリーへ避暑に駆け込むと、『口に関するアンケート』の客席は、若者を中心になんと7~8割の入り。さすが、『近畿地方のある場所について』で知られる気鋭のホラー作家×『呪怨』の清水崇監督の最恐タッグ。ヒットするべくしてヒットしている様子です。

 物語の中心となるのは、無数の蝉がびっしりと張り付いた「呪われた木」にまつわる怪事件。肝試しに出かけた大学生たちの証言を並べたドキュメンタリーのような原作小説の形式を生かしつつ、映画では、その事件を追う刑事が「怪しい雑誌に企画を売り込む」という筋立てを加え、一本の物語へと紡いでいきます。原作は、わずか60ページの短編小説。それを89分の濃密な長編にアレンジした手腕はお見事! 脚本は『爆弾』の山浦雅大氏。なるほど“脚色”って確かに大事なのだなあ、などと素人ながらしみじみ感心してしまいました。

 さらに映画本編が終わると、タイトル通り、本当にスクリーンにアンケートが登場。中身は劇場でのお楽しみですが、炎天下でかくのとは別の、イヤ~な汗が滲む仕掛けに……。

 個人的に刺さったのは、中村獅童演じるやさぐれ刑事の存在感です。正義感に燃える立派な刑事ではなく、どこか胡散臭くて人間臭い。その現実味が異様な出来事ばかりが続く物語に絶妙な立体感と緊迫感をもたらしていました。

 怖さの種類でいえば、これぞ王道ジャパニーズ・ホラー。恐怖に顔を歪める主人公(板垣李光人)。そして、何かがおかしい……見てはいけないものを見ている気がする……。そんな空気が、じわじわとまとわりついてきて、実にジメッとした仕上がりです。

 それにしても、清水監督のひっぱりだこ具合がすごい! 7月24日には学園ホラー『だぁれかさんとアソぼ?』が公開、9月18日には横溝正史の代表作『八つ墓村』も待っています。もはや、夏、映画館で清水作品を観るのは日本の風物詩だな、などと思いつつ今回はもう一本――。

 全米大ヒットの注目作『オブセッション 災愛』も調査しました! こちらの主人公は、好きな人の気を引くために禁断のまじないに手を出してしまう青年です。ということは、いわゆる「代償」系の物語かと思いきや、ロマンスからのコメディーからのホラーと、ジャンルの境界を次々踏み越え、とんでもない悪夢へとまっしぐら――。笑えばいいのか、怖がればいいのか分かりません! でも、その新鮮さがたまらないような。

『オブセッション 災愛』
マイケル・ジョンストン扮する青年ベアが恋するヒロイン、インディ・ナヴァレッティの振り切れっぷりは必見。新たなホラークイーンの誕生を見届けよ! カリー・バーカー監督。108分。公開中。

 驚くのは、本作の製作費が100万ドル未満という事実。しかもそれを奇抜な発想と編集のテンポ、俳優の身体を生かした演出で見事にカバー!

 よって今回の日米ホラー映画対決、制したのは……。

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