『82歳、現役女医が教える すごい野菜スープ』(天野惠子 監修)

 本書の監修を務めた天野惠子氏は、1942年生まれ、東京大学医学部卒の医師。女性の健康問題に対応する「女性外来」を全国に広めた、性差医療、女性医療の研究・実践の第一人者として知られている。2025年にはその功績により、第59回吉川英治文化賞を受賞。現在も診療の現場で、日々患者と向き合い続けている。

「天野先生は立ち姿も背筋がピンとしているし、お話も上手。そして、素晴らしい業績のある方なのに、運転手付きのハイヤーに乗るでもなく、83歳になった今もご自分で電車とバスを乗り継いで、東京から埼玉にある職場まで通勤しています。つまり、読者が共感できるようなごく普通の生活をしている。そうした人物像に惹かれて、企画を立てようと思いました」(担当編集者の石井康博さん)

 着目したのが、天野氏の健康を支えている野菜スープ。75歳のときに健康診断で高血糖と高血圧の傾向の指摘を受けたことをきっかけに、抗がん剤の権威である研究者・前田浩氏の『最強の野菜スープ』(マキノ出版)を参考に作り始めた。塩を使わずに仕上げるスープは一見味気なさそうだが、野菜から染み出す味だけで十分に美味しいとか。その薄味に慣れることで味覚が鋭敏になり、自然と食事全体も薄味で減塩に。スープを習慣にしてから天野氏が気になっていた数値は改善。その後も“薬”のつもりで飲んでいる。

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「天野先生の存在そのものが、本書で推奨する野菜スープを毎日飲み続けることの健康効果を実証していると思います」(石井さん)

 まさに生きたエビデンス。

 本書にはそんな野菜スープのレシピを豊富に掲載。たまねぎ、にんじん、キャベツ、かぼちゃを使った基本スープ以外に、食材の変化で毎日飲んでも飽きのこないラインナップが並ぶ。薬味やハーブといった塩分ほぼゼロのトッピングなど、継続を助ける工夫の紹介も。

 読者層は天野氏とほぼ同世代、70代以上の女性が多い。ヒットの起爆剤となったのは読売新聞朝刊の企画連載「時代の証言者」で天野氏が取り上げられたこと。他にもYouTubeの人気動画番組など、メディアで天野氏のこれまでの取り組みや人となりが伝わるような機会があるごとに大きな反響を集め、本も売上を伸ばしてきた。

2025年10月発売。初版6000部。現在14刷5万6000部(電子含む)