「鬼のようだった」小柄な米兵が、泣き叫ぶ由美子ちゃんを連れ去っていった
両親が捜索願を出した3日午後10時半。すでに由美子ちゃんは犯人ハートの魔の手によって連れ去られていた。
午後7時ごろ、郵便局の前の路上にて1人で遊んでいた由美子ちゃん。本来ならばこの場所は繁華街で人通りも多い場所のはずだが、エイサーの隊列を見ようと見物市民の大半は別の通りに行ってしまっていたという。つまり、いつもよりは衆人環視の利いていなかった状況がこの悲劇の遠因ともなった。
そんな中でも一部始終を目撃し、犯人検挙の大きな要因となった情報を提供した小学生男児がいた。それによると、ボロボロの自家用ハイヤーがやってきて急停車。突然向きを変えると、小柄で太った白人兵がタバコを吸いながら車から降りてきた。
それからあたりを見渡すと、座っていた由美子ちゃんを小脇に抱えて車に押し込み猛スピードで逃走したという。由美子ちゃんは「母ちゃん、母ちゃん」と泣き叫びながら手足をバタバタさせていたというから、その恐怖は想像を絶することだったはずだ。
1955年9月14日付沖縄タイムス夕刊によると、男児はハートの見た目を「赤ブサーが、ハチコーギサン」(赤ら顔の容貌奇怪)と表現。実際のハートは一般的な白人男性の容姿だったというが、男児にしてみたら、恐ろしくて鬼のように見えたのだろう。
一方でハートはその後まもなく、遺体発見現場付近の砂浜で犯行に及んだと推定された。発見時の遺体に砂が付いていたのもそのためだと考えられている。死亡推定時刻は午後9時から翌午前1時の間とされた。家族が徹夜で探していた時にはその願いもむなしく、もうすでに由美子ちゃんは息を引き取っていたのだった。



