「つらそう」「かわいそう」と思われることは、仕方ない

――優しさのつもりでされた配慮が苦しく感じることもありましたか。

しほ 以前、お出かけしたときに知らないおばあちゃんから「かわいそうね」みたいな視線で見られたことがあって。でも、特に声をかけてくるわけでもないので、こちらから何か言うのもなと思って流したことはありましたね。

孝輔 同情的な目線を向けられたり心配の声がけをされたりすることもありますけど、僕が当事者じゃなかったら、同じような振る舞いをしていたかもしれない。

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 想像で皆「つらそう」「かわいそう」ってなりやすいからこそ、やっぱり僕らの幸せな姿を見せていくしかないという結論になるというか。

 だから、同情的に思われるのも仕方ないし、そりゃ分からないよな、っていうことでしかないんで、イラつくとかはないですね。

©杉山秀樹/文藝春秋

――はじめてお出かけしたときは緊張しましたか。

しほ 初めてのお出かけは病院だったんで、いろんな子がいる分、こちらも構えることもなかったんですね。

 ただ、病院の延長で近所のショッピングモールに行ったとき、たとえばエレベーターの中だと、ベビーカーに乗っている子は注目が集まりやすいじゃないですか。私は周りの目線にすぐ気づくタイプなので、「あの子見てるな」「今、すごい顔したな」とか、どんな反応なのかはちょっとドキドキしましたね。

 でも、それでもみーくんを隠そうとは思わなかったんですよね。もちろん、ベビーカーの幌を全部下げちゃって隠しちゃうほうが、気分的には楽ですよ。

――でも、隠さない。

しほ 隠せば楽なんですけど、少しずつでも出していかないと、この子の世界は閉ざされたままだし、私自身、周りの人が実際にどういう反応をするのか、情報収集している気持ちもあったんです。

 ただ、毎日人がたくさんいる場所に行かないといけないとなったら、疲弊していたかもしれない。自分はいろいろ気にしすぎるところがあるので。

孝輔 自分がみーくんと同じ立場だとして、近所のショッピングモールを歩いている姿を想像したら、絶対に顔を隠すと思うんですよ。視線が面倒くさいから。

 でも、『五体不満足』の乙武(洋匡)さんが町中にいても、「うわ、四肢がない人だ」って見る人はいなくて、「あ、乙武さんだ」ってなるじゃないですか。

 見られることはなくしてあげることができない以上、どうせ視線が集まるんだったら、ポジティブな視線のほうが絶対にいいと思っているので、そういう未来を息子に作ってあげられるように、今発信をしているんです。(つづく)

次の記事に続く 「寝る時は、眼球にラップを貼って…」生まれつきまぶたが欠損している“世界でも珍しい障害”の子と両親が送っている日常と「ケア」のリアル