『高校生クイズ』出演は学生生活を大きく変えた
――田村さんは『高校生クイズ』の全国大会に2年連続で出場されていますよね。初めて全国大会に行ったときの思い出はありますか?
田村 高校2年生のときは同期3人で出場しました。予選で負けるだろうと思っていたんですが、ほかのメンバーの助けや運が重なった結果思いがけないところまで来てしまったなと思いました。全国大会に出場した高校生たちは何泊か同じ宿で過ごすことになるんですが、そのときにほかの学校の人たちと徹夜でクイズをしたのは楽しかったですね。
――高校3年生で出場した際は、後輩にあたる伊沢拓司さんに説得されたとお聞きしました。
田村 あのときは、『高校生クイズ』の収録が夏休みのド真ん中にあったんです。しかも、自分が受ける予定の模試の日程とも被っていたんですよ。受験のプレッシャーと『高校生クイズ』のプレッシャーをダブルで受け止めるのは大変だろうなと思って、はじめは出ないつもりでした。
ただ、高校1年生に上がった伊沢拓司が僕と出たいと言ってくれて。彼はすでに高校生以下の実力者として有名だったんですが、「自分が(伊沢自身が)『高校生クイズ』で優勝するためのストーリーに必要なピースだから」と説得されました。彼が書いた『東大生クイズ王・伊沢拓司の軌跡 Ⅰ』(2015年、ほるぷ出版)にはこのあたりの事情がもっと詳しく書いてあるのでよかったら読んであげてください(笑)。
――テレビに出ると、学生生活はガラリと変わりましたか?
田村 テレビに出るという経験をして、一番変化を感じたのは、外で知らない人に話しかけられたときでした。家族や友達になにか言われるっていうのは別によかったんですが、自分がまったく知らない人が、自分のことを知っている顔をして話しかけてくる、という状況にすごく戸惑ってしまって。
でもその人が知っている僕って、テレビの演出にのせられた僕なので、ふだんの僕とはまったく違う。だから、話しかけられてもあんまり話がかみ合わないというか、向こうの期待に応えられない感覚がありました。でも、向こうの期待に応える義務も能力も僕にはないし……みたいなちょっとねじくれた感情を持つようになっていきましたね。
――普通に学生生活を送っていたはずなのに、テレビに出ることで生活にまで影響が出てくると、受験勉強に集中できなかったりしませんでしたか?
田村 『高校生クイズ』に出場した高校生たちのその後を追う特番があったんですよ。その後といっても、要するに出場者たちが東大を受験して合格するかどうか、というところに注目する番組です。『高校生クイズ』放映後の秋から、合格発表当日まで取材を受けました。
いま思えば断る選択肢があったと思うんですが、もう夏休みを『高校生クイズ』に捧げてしまったし、それくらいプレッシャーをかけて頑張ったほうがいいんじゃないか、みたいな思考回路だったんじゃないかと思います。とはいえ、取材を受けた以上は自分の合否が自分と家族だけの問題ではなく多くの人の関心の的になるということですから、そこがやっぱりキツかったですね。
