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2018/09/27

ネットでモノを書くということ

 裁判官も人間であるので、いろんな表現をしたい人はいるでしょう。それを見て「岡口さん、相変わらず面白えな」と感じる人もいれば「なんだ、いい歳して白ブリーフ画像なんか自撮りして情けない」と思う人もいるかもしれません。でもそれは、100人が見て100人が良しとするものではないという意味でしかなく、岡口さんが「そういう表現をしたい人物なのだ」という理解さえ持てれば「やっぱり岡口さんは愉快な人だな」となる人と「岡口さんのツイートはもう見ない」となる人とに分かれるだけの話だろうと感じます。必要なのは、そういう距離感を持ちながら上手く共存していく社会の「知恵」だと思うのです。

 これは、普通の人のSNS利用もまたしかりで、いわゆるツイッターの身バレ問題にも密接に絡みます。私のようにある程度自由に書ける職業や立ち位置の人間もいますが、しかし大多数のネットユーザーというのはどこかに勤め、サラリーを貰いながら生計を立て家族を養い、ツイッターをやっとるわけですよ。昔から続いているネットユーザーの実名匿名論争でもありますが、基本的にネットでは誰かの権利を侵害しない限り匿名で発言しても構わないのがインターネットです。私は実名で書いているけど匿名で書かなければツイッターで表現しづらいと思っている人も少なくないのが事実です。実名で書いている割に「山本一郎とはなんだ、偽名か」とか言われたり「山本太郎みたいなもの」などという扱いをされるのは心外ですが、ネットでの表現の在り方や間合い、距離感の取り方は人それぞれであるべきです。

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 それは、やはりネットでモノを書くというのはちょっとした言葉の使い方の間違いで炎上したり、批判に晒されたりする可能性があるからで、勤め先にクレーム殺到して立場が危なくなるというリスクをヘッジする必要はどうしてもあります。表現者としての岡口さんは、ある意味で裁判官という公職にあることもきちんと公言したうえで自らの趣味や考え、世に問うべきことを堂々と論じ、語り、披露し、様々な人たちからの賛同や批判なども受けながらネットで屹立してきた、真の意味で勇者であり稀有な人物であった、と思うのです。

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